私の家は、
とても幸せだった。
綺麗なお花に包まれて、山を降り、お花を売って…
暖かい両親の手さえあればもう、良かった。
……幸せだった……
ある日、
両親が鬼に襲われ、亡くなった。
両親を襲ったのが鬼だと分かった後、
鬼殺隊員が家を訪ねてきた。
ーーーー血の匂いがする、と。
私はその鬼殺隊員に泣きながら事情を話した。
頑張ったね、偉いね……と、慰めてくれた。
女の方だった。
彼女の容姿は、良く覚えている。
あんなに綺麗で細くて体力もさほど無さそうな人が
鬼を
ーーーー首を切れるなんて。
両親を私の手から、
宝石のように儚く美しい物を奪った鬼を、
私は、許せなかった。
だから両親に幸せになって欲しくて
ーーーー私は鬼殺隊に入ろうと思った。
私は「育手」と言うものも知らず、
只…黙々と刀を振り、山を降り……
花を売って……
元々花を売る為に山を登り降りしていたから
体力は少しは自信が合った。
それから一年後
鬼殺隊に入隊する為の試験がある事を知った。
私は迷わず受けに行った。
「綺麗な藤の花…………」
きらきらと溢れんばかりに咲いている藤の花。
花好きの私はそれだけで勇気づけられた。
集合場所に集まると2,30人位の人がいた。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!