第22話

儚く美しい物  ~過去~
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2020/04/24 12:52
私の家は、
とても幸せだった。

綺麗なお花に包まれて、山を降り、お花を売って…
暖かい両親の手さえあればもう、良かった。




……幸せだった……


ある日、
両親が鬼に襲われ、亡くなった。


両親を襲ったのが鬼だと分かった後、
鬼殺隊員が家を訪ねてきた。
ーーーー血の匂いがする、と。



私はその鬼殺隊員に泣きながら事情を話した。
頑張ったね、偉いね……と、慰めてくれた。


女の方だった。
彼女の容姿は、良く覚えている。

あんなに綺麗で細くて体力もさほど無さそうな人が
鬼を
ーーーー首を切れるなんて。 





両親を私の手から、
宝石のように儚く美しい物を奪った鬼を、
私は、許せなかった。


だから両親に幸せになって欲しくて
ーーーー私は鬼殺隊に入ろうと思った。



私は「育手」と言うものも知らず、
只…黙々と刀を振り、山を降り……
花を売って……

元々花を売る為に山を登り降りしていたから
体力は少しは自信が合った。


それから一年後
鬼殺隊に入隊する為の試験がある事を知った。



私は迷わず受けに行った。



「綺麗な藤の花…………」
きらきらと溢れんばかりに咲いている藤の花。
花好きの私はそれだけで勇気づけられた。


集合場所に集まると2,30人位の人がいた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
説明を聞いた後
周りの人達の足元が動き出した。

7日間生き抜く
ーーーー鬼に会えるーーーー

鬼を見たことの無い私は
両親の亡骸を、想いだして
ふぅ、とため息をついた。


ーーーー絶対に生き抜く。




私は風を切るように、走り出した。


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