凛に襲われて、意識を失った私が目覚めた場所は病院じゃなかった。
白くて、何も無い空間。
あっれ〜、なんでこっち居るのォ〜?
顔が、光りすぎて何も見えない人が近づいてくる。
君、何処から来たの…って、君か!!
手をポンと叩く。
誰。
あ、我?
我?
癖が強いですね。
我は、君の神サマだよん。
は?
は?って言われても困るなぁ。
んーじゃあ、我優しいから教えて差し上げよう。
感謝しなよ?
何コイツ、図々しい奴。
君の前世って分かるかな?
『前世』。
この言葉で、体がピクっと反応する。
心当たりあるみたいじゃーん。
まぁ、あんまり覚えてないんだけどね。
君の兄者かな?
えーと、そうそう!!『松野凛』!!
『松野凛』の前世と、君の前世ね、本当は幸せに生きて死ぬはずだったんだよね〜。
ふわふわ浮いては、クルクル回って鬱陶しい。
その時の我、狂わせてどう遊ぶか楽しんでたんだァ。
それの、最高傑作が君たちっ!!
本当、最高だった!!
親は死ぬわ、国は滅び、指名手配されて、心中するとか最高って言葉が1番合う。
趣味悪。
人生狂わせて、見て笑って楽しかったんでしょ?
そりゃ、楽しいに決まってるだろ。
しかも、今『松野凛』が前世を思い出したことによってまた狂い始めてる。
本当、君たち最高だよっっ!!
ずっと我を楽しませてくれる、
じゃぁ、もう楽しめないね。
何でェー?
我、狂わせる達人だよ?
狂わせる達人に私が勝つから。
覚悟しろや。屑が。
ってことは、凛が狂った元凶はコイツにあった訳だ。
コイツが私達を狂わせ、苦しませた。
手に力が入り、爪が食い込む。
何でもイイ。
凛が、狂った姿なんてもう見たくない。
絶対、私が止める。
アイツの狂った趣味なんて、終わらせる。
次に目覚めた場所は、病院だった。
そこには、誰もいなかった。
夢を、見た気がした。
でも、何も覚えていない。
何も覚えていなかったが、強い思いが溢れ出てきた。
『私が、死ねば全てが終わる。』
『松野凛を許すな。』
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!