第13話

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2019/04/12 15:19



「……もしかして、あなたが蜜さん?」



わんわん泣いていた私の肩を、誰かがそっと叩いた。

穏和そうな喪服姿の女の人だった。慌てて袖で顔を拭う。



「……はい、蜜です」

ようやく答えた声は、ひどい鼻声だった。

「ああ、よかった。ようやく会えたわ」

女の人は穏やかに私の手を引いて起こす。



「五条千春です。真白の、母です」


それを聞いたら、また涙があふれて止まらなかった。




--真白さん。そうだ、真白さん。

ずっと五条さんと呼ぶように言われていたから、誰だか分からなかった。
こんな後輩でごめんなさい、五条さん。




「あらあら、まあ、ごめんなさいね……。そう泣かないで」

大きくしゃくり上げる私を、千春さんはほんとうのお母さんのように優しくなだめてくれた。
ようやく落ち着いた頃、千春さんはゆっくりと話し始める。



「真白から、あなたの話をよく聞いていました。可愛い後輩が来たんだ、って。
あなたは紛れもなく、真白のいちばんのお気に入りでしたよ」


そんな。五条さんには、あんなにたくさんセンスのいい後輩がいるのに。


「心配症で、真面目で、でも朗らかな良い子で、ってね……
蜜さん、ありがとう、真白を好きでいてくれて」



驚いて顔を上げた。どうして、それを。


「……ご存じだったんですか」

「ごめんなさいね、あの子、秘密が守れないの」

千春さんはちょっと笑って続ける。





「真白はね、ほんとうにあなたと結婚したいと思っていたんですよ。

何度も何度も、お互い好き合えたらどんなに幸せだろうって聞かされました」





……ああ、そんな。



今聞かされたって、遅すぎるのに。



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