プリ小説

第11話





「結婚願望?みたいなやつ、あんまり無いんだ。わたし子供産めないし」



お洒落なカフェでとんでもない量のパンケーキを食べながら、五条さんは突然言い出した。

寒がりで、カフェの店内でもファー付きのダッフルコートが手放せないと嘆いていた話の、まるで続きかのように。




「え……?産めない、って」

「全摘したんだよねー、病気で」


びっくりした?と五条さんは微笑む。
あっけらかんと言い切った彼女に、悲愴の色は見られなかった。

同情したり、沈痛な顔をするべきなんだろうけど、私は不謹慎にもわくわくしてしまった。


「結婚、したくないんですか」

「ははっ、そこ突っ込むんだ。やっぱ面白い子だね。……うん、別に。人と付き合ったことないし」

「……お付き合いしたこと無いんですか」

「告白は何度もされたけど、一度も。あー、人と好き合ってみたいなあ」





その顔なら至極当然だろう、という淡い笑いは、次のひと言で一気に霧散した。


調子に乗るな、という理性と、今しかない、という衝動が交互に襲いかかってくる。

結果的に、私は、衝動に負けた。





「……五条さん。それ、私じゃ、だめですか」




五条さんは大きな目を真ん丸にして、それから、いつものようにコケティッシュに首をかしげた。



「言ってみただけでしょう」

「私は本気ですっ」

「君、女が好きなの?」

「……五条さんが、好きなんです」

「ひゅう、熱烈ぅ」

「ね、五条さん、だめですか」

「うーん……」



五条さんは悩むように頬杖をつく。
それを見て、顔からさっと血の気が引いた。


こういうとき、大抵五条さんの頭の中では既に答えが出てるのを私は知っている。

そしてそれは、大抵肯定的なものではないことも。



桜色の唇が開くのが、こんなに怖かった時はなかった。





「返事は、来年のこの日にしようかな。それまであたしのことを好きで居てね」



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此ノ糸スミレ
此ノ糸スミレ
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