第2話

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2019/04/12 15:17


「本日は暑い中、わざわざありがとうございます。故人のご友人ですか?」


「……はい、……この度は、誠にご愁傷様です」




香典を渡す手ががたがたと異様に震える。


兄と名乗った愛想の良いその人は、怪訝そうに袱紗を受け取り、若干逃げ腰でパイプ椅子を譲ってくれた。

礼を言ってそれに座った、座ったつもりだったんだけど、上手く座れなくて無様に転んでしまう。

五条さんのお兄さん--ああ、彼も「五条さん」だ--は、ついに眉をひそめた。


「あの、お坊さんが来たらお呼びしますから、しばらく休んで」

「……いえ、結構です。お気遣いありがとうございます」





示された席に向かい、数珠を取り出す。


からからに渇いた心に、焚きしめられた香の匂いが流れ込んできた。

やめて、五条さんはこんな匂いは好きじゃない。



私は知ってる。




私だけが知っている。




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