第5話

(🌵)2度目の過ち
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2020/06/03 10:20
ガチャ。
俺はねぎりょーの家の扉を開いた。
もち
もち
ねぎさーん。いる?
緊張しているため、声が裏返ってしまった。
できるだけ落ち着いて、寝室に向かう。
ねぎりょー。
ねぎりょー。
あ、もち。来てくれたんだ。
ありがとう。
壁に向かってねぎりょーは反応した。
やっぱり嫌われたのか、俺。
もち
もち
お、おう。
もち
もち
ここに飲み物置いとくから。
周りを見ると、とても部屋が綺麗になっている。チハヤが片付けたんだろう。俺のせいでねぎりょーの家が散らかったのに2人に片付けさせてしまった。申し訳なさが胸に湧き上がる。
ねぎりょー。
ねぎりょー。
無事に家に帰れたか?
もち
もち
まぁ。どうして俺が家に帰ったのか、あんま記憶にないけど。
言ってしまった。むしろ意図的に言った。
ねぎりょーにしてしまったこと全てを記憶になかったように誤魔化すセリフ。俺は何度誤魔化せばいいんだろう。
これはねぎりょーを傷つけないためだと正当化させる。本当は自分を守るセリフだけれど。
ねぎりょー。
ねぎりょー。
エヴァに餌あげるとかなんとか·····
ねぎりょー。
ねぎりょー。
もち。さっきはごめん。
怪我してない?
ねぎりょーがこちらを向いて謝った。
本当に苦しそうに謝っている。
もち
もち
何が?
本当は俺が謝るべきだ。あんな行動をしておいて、ねぎりょーに謝らさせている。どれだけ俺は最低なんだろう。
ねぎりょー。
ねぎりょー。
そっか。そうだよな·····
記憶にないんだもんな。
怪我してないならよかった
ねぎりょーは苦笑いをした。
最悪だ。酒で自分の気持ちから逃げようとして、酒で自分の本当の感情を言ってしまって、自分の飲んだ酒で自分の首を絞めている。こんなに体調が悪いのに(そして間接的にに体調を悪くさせたのは俺)、そして俺がいるせいで今もねぎりょーに苦しい思いをさせている。

ずっとここにいたら、ねぎりょーがもっと苦しくなってしまう。

俺はねぎりょーといままで通り仲良く出来たらそれでいい。
これ以上苦しめてしまったら、元に戻れない気がする。
あの事は、ねぎりょーにとってただのジョーク。そして俺の記憶にはない。いつかどちらの記憶からも完全になくなること。
それでいい。本当にそれだけなんだ。
もち
もち
じゃあ、俺帰るから。
俺はこの場から逃げるように、帰宅の準備をした。