第6話

(👓)正直に
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2020/06/03 12:53
ガチャ。
もちが来た。さっきまで寝ていたように、そっと顔を壁に向ける。
もちが部屋に入ってきたから、昨日の記憶を辿るように、ちゃんと帰れたかを確認する。
「あまり記憶にない。」と微笑む。
少し安心した。もちはいつも通りだ。酒に弱くて、よくわからない行動をしたけれど、寝たらちゃんともちで。
突き飛ばしてしまったから、どこか怪我をしてしまったかもしれない。
俺はちゃんと謝罪をする。彼の目を見て。
すると少し彼は動揺して、「何が?」と髪の毛をさわりながら聞き返す。記憶がないみたいだ。良かった。

それと同時に、あの告白が彼の記憶にないことも証明された。やはり、悪ノリだったんだ。狂わせた酒のせいで口から出たセリフ。同時に起こした行動。彼の記憶から無かった様だ。しかし、これで元通り彼と仲良くできる。
それでいいんだ。

すると、彼は急に帰宅準備をした。
俺から逃げるように。少し苦しそうな顔で。
そして、彼が背を向けた時、
ねぎりょー。
ねぎりょー。
帰らないで。
あの時の帰るもちの姿と重なって、俺は言ってしまった。
もち
もち
え·····?
彼は動揺している。
もち
もち
俺が居て嫌じゃないのか·····?
嘘が苦手な彼からボロが出た。
髪の毛をさわる時はだいたい嘘をついている時にする彼の癖。今日はたまたまかもしれないと思ったけれど、嘘だったんだ。
本当はもちの記憶に残っているんだ。
ねぎりょー。
ねぎりょー。
何言ってんだよ。
つーか具合悪い中一人ってかなりしんどい
もち
もち
そ、そうか·····
ごめんな、酒付き合わせちゃって
ねぎりょー。
ねぎりょー。
こっちこそごめんな。
不本意に突き飛ばしちゃって。
もち
もち
あ、うん。
彼はにっこりとこちらを見ている。
もち
もち
あ、待ってなんの話?
誤魔化した。バレバレだよバカ。
ねぎりょー。
ねぎりょー。
お前が急に冗談言うから突き飛ばして悪かったって言ってるんだよ
もち
もち
え、待って俺なんかそんなやばい冗談言った?
髪の毛をさわりまくる。
可愛い。バレバレなの全然気づいてない。
ねぎりょー。
ねぎりょー。
そっか。記憶にないんだったもんな。
少し挑発するように言う。
もち
もち
そうだよ。何の話してるの?
ねぎりょー。
ねぎりょー。
もし、もちの記憶に残ってたら、
俺あのセリフ嫌じゃなかったのになって言えたのに
もち
もち
·····!?
彼は非常に驚いている。
目をありえないくらい見開いている。
少女漫画の主人公か。
ねぎりょー。
ねぎりょー。
ほんとバレバレだから。
嘘つくんじゃねぇよ。
それだからみんな付き合った人に好きな人いるってバレるんだよ。
もち
もち
ごめん。
彼は泣きそうな顔で微笑んだ。
物凄く安堵したように。

そんな彼を俺はベッドから降りて優しく抱きつく。
もちも抱き返してくれた。
お酒のおかげで彼の本音がでてきた。
けれど今どちらもアルコールが入っていない。
(俺が二日酔いなのは置いといて)
酒にたよらず、今なら本音が言える気がする。
もち
もち
なぁ、俺やり直してもいい?
ねぎりょー。
ねぎりょー。
おう。
そう言って、彼は俺の目を見てこう言った。
もち
もち
俺は、ねぎりょーの事が好きです。
付き合ってください。
ねぎりょー。
ねぎりょー。
何それ?
俺は笑う。そして
ねぎりょー。
ねぎりょー。
俺で良ければ。
あの時見た夢のような、泣きたくなるくらい幸せな気持ちになった。
そして俺達はまた抱きしめあった。