第3話

(🌵)自覚
85
2020/06/03 09:08
ピピピピピ。
スマホのアラーム音がなる。
午後3時。アラームを止める。
ロックを解除すると、ホーム画面だった。
彼女がいた時は毎晩のように寝落ち通話していたから、トーク画面の状態でスマホを開くことが多かった。
今日はホーム画面。つまり俺はあいつと別れたんだ。昨日言われたことは嘘じゃなかった。エヴァが俺の腹の上に乗っている。
もち
もち
はぁー·····
俺はエヴァに顔をうずめてモフモフする。
徐々にエヴァは嫌がってどこかに行ってしまった。
もち
もち
あれ、俺ってエヴァに餌あげたっけ
ほとんど昨日(いや午前2時だから今日と言うべきか)の記憶が無い。そして、キャットフードが片付けられていない。
ん?俺は今日振られたはずだ。いつもはねぎの家に行って泊まってくるはずだ。
急いで家を出て、エヴァに沢山の餌を与える必要があったからキャットフードを片付けるのを忘れただけだ。

なぜ俺は自分の家にいる·····?

記憶を絞りだせ。飲んだのにも関わらず、ここまで帰ってこれたのなら、そこまで酔ってなかったはずだ。

ねぎりょーに聞くのが1番早い。
電話しようとしたが、何故か気が引ける。
もち
もち
·····あ
思わず声を出してしまった。
ねぎりょーに不可解な質問をされたのを思い出した。

「お前ってなんでそんなに女と付き合うことにこだわってるの?」

今思い出しても理解できない。
男と付き合う概念は無いのか?と聞いているように感じる。

ねぎりょーは俺のことが好きなのか?
俺は笑ってしまった。そんなはずはないだろう。俺が1番理解しているはずだ。
もち
もち
そうだったらいいな
不意に俺はそんな事を言ってしまった。
もち
もち
あ!!!!
俺が急に大きい声を出したせいでエヴァが飛び上がって部屋を出ていってしまった。

思い出した。まずいことをしてしまった。
ずっとこの感情を誤魔化してきたはずなのに。この時ばかりは自分の酒の弱さを恨んだ。なんのために、俺はあんなにもいろんな女性と付き合ってきたか。そして、このねぎりょーへの感情を隠すために付き合ってきた女性達をどれだけ傷つけたか。その上ねぎりょーも傷つけてしまった。
もち
もち
ねぎりょーが好きなんだ·····俺は
知らない間にこの感情を誤魔化していた。ねぎりょーに迷惑をかけるから。身の回りに女性がいたら、ねぎりょーを好きになることはないだろうと。けれど、どの女性にもバレていた。俺がねぎりょーを好きだって。

しかも俺はねぎりょーに突き放された。フラれたんだ。
凄いツーコンボをくらっている。流石にまた酒を飲む訳には行かない。

考えれば考えるほどしんどくなる。
俺はパソコンを起動し、MONSTERを片手に撮りだめした動画の編集を始めた。

カット編集が終わった頃にLINEが来た。
フレントからだ。
フレント
フレント
もちさーん
ねぎさん体調崩したらしいんですけどお見舞い行きません?
まさか。
あの後飲みすぎたのか。
やはりこの感情はねぎりょーに迷惑をかけた。
もち
もち
ありがとう。
けど今ちょっと手を離せないから先行ってて
フレント
フレント
分かりました。
チハヤと先に行ってきます
流石に気まずい空気を2人に感じさせる訳には行かない。
テロップ付けてからお見舞いに行こう。

カタカタカタ。
物凄いスピードで文字を打ちながらこのあとのことを考える。
門前払いされたらどうしよう。
もし嫌われていたら·····

無事編集も終わり、道のりにあるコンビニでポカリやゼリーなど適当に買っていく。
前に喧嘩した時よりも、足取りが重い。
神様、どうか俺がねぎりょーから嫌われていませんように·····

2人が帰宅したことを確認してから、俺はねぎりょーの家の扉を開いた。