重い瞼を開けると、そこはなぜか外だった
私は横断歩道の前にいて、信号は赤。
私以外の人も信号機の前で止まっている
なのに
一人の女の子がなぜか私の隣をすっと通って走っていった
通り際にその女の子の顔がちらりと見えた。
その刹那
ドクンと心臓がなった
『 、わたし? 』
横顔だけだったが、それは完全に私で
その私が赤信号を無視して横断歩道をかけてった
『 待っ、 』
喉が詰まりながら手を伸ばしたが、その手はなんにも触れずに終わった
トラックが猛スピードで走ってくるのを、スローモーションのようにみている
危ない
そんな言葉も出ずに、私を見ていると
またすっと、ものすごい勢いでひまわりの束を持った誰かが私の隣を走っていった
『 は、?伊ヶ崎‥‥‥、? 』
隣を走っていったのは何故か伊ヶ崎だった
なんで?
だって、伊ヶ崎とは病室ではじめてあって‥
そんな事を考えていると、ぱさっと目の前でひまわりが宙を舞った
落ちたひまわりはだんだんと赤に染められていく
赤いひまわりを辿ると、そこには私を庇って倒れている伊ヶ崎がいた
『 ぁ、いや‥‥‥いやだ、いやだ 』
頭がわれるように痛い
周りがきゃーきゃーと騒がしい中一人、しゃがんで頭を抱える
『 なんで、?だって伊ヶ崎とは入院して、はじめてあった‥‥‥ 』
違う
心の中の何処かでそう叫んだ
『 ちがう、ちがう‥‥‥
伊ヶ崎は、病室で出会った人なんかじゃない‥‥ 』
伊ヶ崎は
私の最愛の人だ
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。