『 っ、!!
はぁ‥‥はぁ 』
がばっと飛びつくように体をベットから起こす
何か嫌な夢を見た気がする‥
さっきまで覚えていたのに、もう思い出せなくなってしまった
なんだ
なにを見ていたんだ
思い出さなくちゃいけないのに思い出せない
ベットの横を見ると太陽の方を向いて咲いている向日葵
その向日葵の香りが嫌なほど頭にくる
『 ‥‥っ、 』
向日葵
それをくれたのは、伊ヶ崎
向日葵と伊ヶ崎
頭を抑え、下を向いているとガラガラと病室の扉が開いた
『 おっす〜‥‥‥っておい!!!
大丈夫か?!! 』
そうやって呑気に入ってきたのは伊ヶ崎
でも私の姿を見て血相変えて走ってきた
『 はっ、ぁ、優‥? 』
ぽろりと口から出たその名詞
優、
優?
『 優っ、 』
涙を流しながらそう名前を呼ぶ
自分の意識が消えゆく中、最後に見たのは焦った顔で喜んでいた優の顔だった
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!