第5話

僕と君と 4話
5
2018/05/14 13:19
8月2日

学校で教授の手伝いをするため夢はいつもの時間に家を出る
藤田司
おはようございます
声のする方を向くと司が同じように鍵を閉めているところだった
おはようございます!朝早いんですね
藤田司
これなら用事があって…安藤さんは?
私は大学に行かないといけなくって
藤田司
休みなのに大変ですね
途中までご一緒していいですか?
あっはい!
エレベーターに乗って下に着くまで会話が途切れることはなかった



私こっちなんで
そう言って立ち去ろうとすると司が引き止める
藤田司
僕もこっちです!
あ、そうなんですか!駅までですか?
藤田司
〇〇大学に用事があって
夢は小さい目を大きく見開いた
藤田司
どうかしました?
私〇〇大学に通ってるんです!
藤田司
そうだったんですか⁉︎
僕白川教授の手伝いで
私も!
重なる偶然にいつの間にか夢と司は笑い合っていた


でもこんな偶然あるんですね
白川教授とは知り合いなんですか?
藤田司
はい、今住んでる部屋も白川さんに紹介してもらったんです
僕の命の恩人です
大学は夏休みということもあり、誰もいない広々とした空間に2人で歩く



白川
おはよう
あれ?2人とも同時に来るとは!
すでに片付けを始めていた白川は手を止め、こちらに視線を向ける
はい
マンションが一緒なんです!
しかも隣同士
白川
そうかー
これも何かの縁だろうから司くんをよろしく頼みますね
今年定年退職してしまう白川の書類整理や研究室の部屋掃除など、とても1日では終わらない量だ






白川
司くん、安藤さんジュース買ってきたから少し休んで
司 夢
ありがとうございます
司と夢は白川が買ってきたジュースを受け取り、部屋に響いてしまうくらいの音を立てながらジュースを飲み続けた
白川
いやー、司くんと安藤さんのおかげでこんなに片付きました
物腰が低い白川は生徒からよく慕われている
でもこんな早くから整理するなんて
白川
バタバタしてしまうのもなんですからね
ひと段落し、今日の手伝いは終わりとなった
家までの帰り道をまた司と夢は2人で歩く
藤田さんはどこで白川さんとお知り合いになったんですか?
藤田司
それは…
もじゃげ!奇遇だな!
聞き覚えのある声の方を振り返るとそこには翔太が立っていた
翔太
休みの日まで学校なんて勉強熱心だな
ズカズカと近づいて来る翔太は司の存在に気づく
翔太
なんだ
もじゃげの彼氏か?
翔太は夢と司の顔を交互に見る
あ、いや…お隣さんです
翔太
なんだ、そうか
昨日の約束覚えてるか?
覚えてますから
翔太
じゃあ早速行くぞ
翔太は夢の腕を掴み歩き始める
藤田さんまた、明日!
握られた腕を痛がる夢を見かね、司は翔太の腕を掴んだ
藤田司
嫌がってますよ
そう言って翔太の手を夢の腕からはがしとり、行きましょう。そう言って反対の方向を夢と足早に歩いて行く
翔太
おい!もじゃげ!
話が違うぞ!
藤田司
女の子が嫌がってるのに無理やり手を掴んで行くなんて非常識じゃないですな?
翔太
ご飯を食べに行く約束をしたんだよ!
今日!
司は目をパチクリとさせ夢の顔を見る
そうなんですけど…
藤田司
今日は疲れてるみたいたので、また後日にさせてもらってもいいですか?
そう言い残し、司は優しく夢の腕を取り、行きましょう。そう言って走り出していった

翔太
おいもじゃげ!

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