いつも通りグラウンドを見つめる昼休み。昨日のことがあり、まだ体に寒気が残っている。
本当は休もうと思ったけれど、誰にも昨日のことが言いたくなくて、ズル休みをするのも
抵抗があったから、なるべくいつも通りを装って昼休みまで過ごせた。
大好きなお母さんが作った弁当も手がつかず、ただひたすらグラウンドを見つめていると、
グラウンドでサッカーをしていた男子の一人と目があった。
その高身長で一際目立つ彼をどこかであった気がすると考えていると、
見覚えのある笑顔で、私に向け手を振ってきた。
思わず出した大声に「どうしたどうした」と友達が寄ってくる。
一人の女子がそう言い手を振り始めた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!