息を弾ませながら駆ける
速く、速く、速く、速く!
白を帯び始める視界に彼の姿を捉える
名前を呼べば驚いた様子を見せる彼
ヤバ…
走ったからフラついて…
倒れ行く身体を恨めしく思う
けれども痛みが走る事は無く、変わりに温もりが私を包み込んだ
2人の間を流れる風が沈黙を無くす
恐る恐ると言った様子で言葉を発する彼
私は彼の肩に手を置いて、微笑む
そしてそのまま一歩近づき言った
彼の頬を思いっきりビンタする
その言葉を聞いて、彼の顔に笑顔が灯る
数年間の想いは今結ばれて咲き誇る
あの日大樹の下で生まれた初恋の蕾から
𝑓𝑖𝑛
***
その後3人での合流時
こちらを見るなり駆け寄ってくる雪とその頭をポンポンする彼。
コイツら仲良いな
笑顔で爆弾発言を投下して来ました
ここぞとばかりに揶揄ってくる雪
絶対悪意ある
狙いは優希に移ったのか彼の方に近づく
よく見れば彼の頬は真っ赤に染まって居た
物理的に
こうしてまたあの時の様に“楽しかったあの頃”に戻って行くのだった
また来年も再来年もこうやって3人で…