あの日は…遊んでる最中に眠くなって、大樹の寄り掛かりながら眠っていた
そして寝ている最中に誰かの視線を感じて起きたのだ
そういい確認する
そこにいたのは日焼けなど知らない様な白い肌の少女がいた。
アッシュブラウンの髪はどこか儚げで、紫の瞳は俺の姿を映している
初めて見る可愛らしい少女に俺は見惚れていた
少女は綺月文香と言うらしい
何も知らない箱入りのお嬢様だというのは容易に想像出来た
まあ…かけっこ知らない時点で誰でも分かるだろう
外の事を紹介する度に輝かしい笑顔を浮かべる彼女を見てるだけでとても幸せだった
いつだったか…隠れんぼの最中に俺が木の上に隠れて、落ちて怪我をしてしまった。
彼女は目の前で泣き出しそうな程心配してる
頼むから泣かないでくれ、大変だから
箱入りのお嬢様は血を見たら泣き出すだろう。
それくらい文香は俺にとって“弱くて、護らなければならない存在”だった
しかし、彼女は意外にも泣かずに持ってきたポシェットからガーゼ状の絆創膏を取り出した
そういいながら俺の傷口を水で流して、丁寧に処置を進めて行く
彼女は心底不思議そうにして俺を叱る
…俺が思っているよりも彼女は強いのかもしれない
傷口の滲みる痛みに涙目になりながら、そんな彼女を愛おしいと思った
とある夏の日に儚くて触れれば消えてしまいそうな程綺麗で…強い彼女に恋をした
俺の初恋だった
俺は彼女の為ならなんだってすると、幼いながら胸に誓った