第72話

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2021/11/11 14:24

LAST STORY



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「…どうしよう、スニョア」
HS「ん?何が?」

スニョアの頬を包んでいる私の手を
ギュッと握って、優しく問いかけた。

「このままだと伝えちゃいそう。」
HS「好きな人に?」
「うん」
HS「伝えちゃえばいいのに。俺みたいによ〜」

悪戯そうな笑みを浮かべる。

「勇気がない」
HS「ま〜、あなたは小心者だから
相手からいかないといけないタイプだな。」

そうだよ。
スニョア、もっと来てよ。
私に勇気。与えて。

「来て」
HS「来て?」
「スニョアから来てよ。」
HS「…どこによ」
「私に勇気、与えて?」

この意味が伝わればいいな。

HS「…うんっと、俺が解釈した意味であってる?」
「…そんなの知らないよ」
HS「その、あなたの好きな奴ってのは俺?」
「…うん」

スニョアに伝えてしまった。
スニョアは顔を赤く染めてほんと?と疑ってくる。

「あのさ!疑いすぎ!そんなにわかんない!?」
HS「だ、だって!!ビックリするじゃん!!」
「…はぁ、、まったく、、」

この状況に驚きを隠せないようなスニョアの
手を取ってスニョアに近寄った。

「スニョアのこと好き。好きみたい」

ちゃんと伝えた。
私の気持ち。

HS「やべぇ、、死にそう」
「死なないでよ」
HS「嬉しくて、、」

お互い握る手に力が篭もる。

「顔真っ赤じゃん〜」
HS「…うるさ」

私たち、やっと気持ち伝わったのかな。
ずっと平行の距離を保ってきていたけど
やっと、交じれることが出来た。

HS「あなた、好き。俺と付き合って」
「もちろん」

二人してつい、笑いが込み上げてきてしまい笑った。
いつもみたい、変わらない楽しさ。
けど、どこか違う。

HS「あなた〜〜!」

私の方に手を回して距離ゼロセンチとなった。
恋人になってちゃんとしたハグをした。
こんなに心地が良いものなのか。

「…痛い〜」
HS「それくらい好きってことかなぁ〜」
「あぁそうですか〜」

私もスニョアに負けじと力を入れる。

HS「おま、力強すぎ!」
「スニョアに鍛えられたって言ったじゃん」
HS「随分とあなたに魅了させちゃったなぁ〜困った」
「…はぁ、、そういうとこは変わんないのね」
HS「変わって欲しい?」
「ううん。変わらないで。」

その、スニョアが好きなの。

HS「俺が友達以上恋人未満って何?
って聞いたの覚えてる?」
「いつの話?それ。」
HS「結構前なんだけど」

…あぁ、それらしき会話が頭に浮かんできた。

HS「友達以上恋人未満って割とお互いにとって
特別な存在に思えるかもしれないけどさ、
やっぱり、恋人ってのが大事だって思えて良いよね。」
「うん!そっちの方が好きかも」
HS「今まであなたのことただ、大事って思ってきたけど
これからは俺の彼女だから何があっても守るよ。」
「ほほぅ〜、頼もしい彼氏だこと!」
HS「あなただけの王子様になってみせる」
「いや、痛すぎる!!」
HS「おい!人が必死にカッコつけてんのに!やめろ!」


” 友達以上恋人未満 ”


ってなんだったんだろう。
今までの私たちの関係みたいなのかな。
友達って呼ぶには物足りなくて
恋人って呼ぶには相応しくない。
けど、今の私たちは

” 恋人 ”

幼馴染から恋人へ。
より1層、大事な存在になった。



end

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