第66話

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2021/10/31 14:26
「ウォヌくん?」
WN「ごめん、情けないな、俺。」
「え?」
WN「…嫉妬した」

ウォヌくんの口から 嫉妬 だなんて言葉が出てくるとは
思ってもいなかったから驚いた。

WN「あなたがスニョアのことばっか考えてんの羨ましくて。」
「…そんな、スニョアばっかじゃ__」
WN「幼馴染だったら俺の事考えてくれてるかな」

なんでそんな寂しそうな笑顔をするの…?
私、不安にさせてしまっていたの…?

スニョアとは今までの距離では居ては行けないのかも。
普通に考えてウォヌくんは彼氏だ。
幼馴染の男と一緒にいて欲しくないだろう。

「ごめん、ウォヌくん」
WN「別に謝らせたいわけじゃない…俺の方がごめん」

なんとも言い返せないこの空間で
ウォヌくんは笑って言った。

WN「スニョアなら心配無いよ。
部活で暑さでやられて倒れた時もすぐ復活してたし。」
「スニョア、馬鹿だもん。」
WN「ふはっ、直球だな。」

さっきの話をされて、そんな綺麗な笑顔を見せられちゃ
どの顔がウォヌくんの本当の顔か分からない。
もしかしたら、今の表情は作ってて
無理しているのかもしれない。
ますます、ウォヌくんの謎に陥っていく。

HS「…ごめ〜ん、片付けさせて。」

体育館の入口から顔を出したスニョア。
顔は少し赤くなっていて

WN「もう、大丈夫なの?」
HS「うん〜、なんとか〜。」

語尾も伸びちゃってる。
相当、しんどいのかな。

「スニョア、一緒に帰__」

” 一緒に帰ろう ”
そう口にしたつもりが途中で途切れた。

HS「…うん?帰るよ?」
「ああっ、うん、、」

何を言っていたかスニョアは最後まで言わなくても
大体把握してしまっていた。
しまった、!!!
ボールカゴを倉庫に閉まって
体育館の電気を消してその場を後にした。
靴を履き替えて外に出ると
やはり、真冬は寒い。
マフラーを肌に密着させて空気ができる限り
入ってこないようにする。

HS「女って大変そう〜」
「なんで?」
HS「足。寒そう。」
「どこみてんの。変態」
HS「は!?なんでそうなんの!」
「女子の生脚を見るな」
HS「ちぇ〜、ケチ。」
「病人は病人らしく弱ってて。」
HS「もう平気だってんのに」
WN「また倒れられたらあなたが大変だろ」
HS「そうだけどよ〜」

スニョアの回復力は怪物だ。
凄まじい速さ。
まてまて、あれだけ病人らしくしろと言ってて
ましてや、熱で倒れた人が
マフラーもアウターも着ずにジャケット1枚で
歩いてる光景に唖然とした。

「スニョア、、マフラーは?」
HS「あ!家に置いてきた」
「…ばかなの」
HS「今日暑かったから…」
「その時から熱あったんだよ、」
HS「そういう事か…」
「…スニョア、しゃがんで?」

私の首からマフラーを解いてスニョアの首にまきつけた。
スニョアが私と同じ目線になると
目が会わないように逸らした。

ずっと見てくるからスニョアが。
これでもかってくらい!

「見ないで」
HS「見てやる」
「変態」
HS「おまっ!変態じゃねぇ!」
「静かに」
HS「ちょっと!ウォヌ!言ってやれ!!」

私の手が止まった。
そうだった。
さっき言ってたばかりなのに。

「…あとは自分で巻いて。じゃっ。」

ウォヌくんの顔を一切見れず一人で帰った。
こんなにモヤモヤした帰り道は初めてだ。
なんでこうもスニョアのこと
ばかり気にかけてしまうのだろう。

私の彼氏はウォヌくんなのに。

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