第68話

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2021/11/04 14:20
スニョアの家の前に来てみたものの
何をしようと思っていたのか。

勢いに任せて告白でもしようとしていたと思うと
身の毛がよだつ。
携帯を片手に引き返そうとした時。

HS「お?あなた?何してんの?」

スニョアの部屋のベランダに腕をかけて下を見ていた。

「いやっ、、なんでもない。」

私はスニョアの事が好きだ。
と、自覚してしまったからには
スニョアとどんな顔をして会っていいかわからない。

HS「あ!そういうことか!ちょっと!待て!」

家に引き返そうとした時。
上から聞こえるスニョアの声。
なにが、そういうこと…?バレた!?
そんな、やばい。
足を止めてスニョアを見上げるとそこにはいなくて
あっという間に玄関からでてきた。

「瞬間移動でもしたの?」
HS「ふはっ、出来たらいいなぁ〜」
「呑気な奴…」
HS「なんでもいいわ!てか、これ。」

スニョアが手に持っているのは私のマフラー。

「…あ〜、明日でも良かったのに」
HS「え?これ取りに来たんじゃないの?」
「え?あっ、そう!!」
HS「それともなんかあった?」

そう言って、私に近づき
至近距離で私の顔を覗き込む。

こんなこと、いつもしてた…?
咄嗟にスニョアを突き放す。
ビックリしちゃう…

「…何にも、、ない!!」
HS「おおっ、どうした?体調悪い?」

苦笑いのスニョア。
絶対、変だと思われてるよ…

HS「ま、寒いから早く帰りな。俺みたいに風邪ひくぞ?」
「うんっ、そうする。」
HS「…なぁ、、」

眉を寄せてシワを作り困った顔して
私にまた近づいてくる。
ほんとに、それ、無意識!?

HS「変な物でも食った?」
「は!?なんで!」
HS「いつものお前なら 
” 馬鹿は風邪ひかないって言うのにね ”
とか言うじゃん。期待してたのに。」
「…あぁ、そんなこと言う?私」
HS「やぁ、、まじで大丈夫?」

私のおでこにスニョアの手。
私…我慢しろっ。

HS「熱は無いけど。ほら、もう帰ろ。な。」

妙な私を心配しているのか
普段から優しいスニョアが更に優しく見える。
私の手を取って自宅の方へ歩き出す。

繋がれている手。
今の私は恥ずかしくてたまらないのに
離したくない。って
思ってしまう。
風で揺れるスニョアの髪の毛を後ろから見てる。
意識したことの無い景色だ。
すると、後ろを振り返ったスニョアと目が合って

HS「ふはっ、なんか今日可愛いな!あなた!」
「はぁ!?」
HS「オドオドしててあなたらしくねぇ〜(笑)」
「…うるさい…なっ、」
HS「ウォヌと進展でもしたかぁ〜。」
「してない、」
HS「そう?惚気は聞いてやってもいいが程々にな」
「スニョアには言わないよ。」

…好きだから。

HS「もしかして、あなた、」

急にピタリと止まった足。
私の方をゆっくり振り返り

HS「ウォヌと…喧嘩した…?」
「…へ?」

スニョアの目は潤っていて今にでも
泣いてしまいそうな子犬の目。

HS「あいつ、、許さん。」
「ばか!違うってんじゃん!!!」
HS「痛てぇ!!!力強!」
「スニョアが悪いんじゃん!」
HS「お前の力俺のせいにするな!」
「スニョアが鍛えたみたいなもんだよ?」
HS「…ははっ、、はははっ」
「何笑ってんの。」
HS「いやぁ?いつものあなたで
安心したって言うか?」
「…なにそれ」
HS「いかにも俺の事好きみたいな態度とるからさ〜、
俺、つい期待したけどな訳ねぇか!」

そう、スニョアが笑って言った瞬間。
ドクン、と大きく胸は鼓動を打つ。
その後、段々と早くなっていき静かになることは無い。
好きなんだよ!と伝えてしまいそうになったけどやめた。
ウォヌくんにちゃんと言わなきゃ…それからだ。

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