かずまと初めてデートをした翌日
北人の顔が一瞬、固まった
本当に一瞬だった。
次の瞬間にはもう、
と、微笑みかけられていたから
そのことに気づいたのは私だけだったと思う
普段通りの表情で北人は席についた。
北人は、私と壱馬さんのこと、どう思っているんだろう……
北人に顔を覗きこまれあなたは、ぱっと目を逸らして首を振った
私ってばなに1人で動揺しているんだろう
前髪を触りながら、言葉を濁した。
時間が経てば慣れてくる?
そのうちはいつ訪れるのだろう
お互いの距離は一向に縮まらないままだ
デートが楽しくないわけじゃない
会えたら嬉しいし、色んなところに連れていってくれるし
2度目のデートは、美味しい和食屋さんに連れていってもらった
食事自体は美味しいのだけれど、
……
壱馬は相変わらずクールで、2人の距離は縮まらなかった
雑貨屋にも行ったのだか、壱馬は店内も見ず、外で、外の風景を眺めているだけだった
どうしたらもっと普通のカップルみたいに打ち解けられるのだろう
高級店に連れて行ってもらったり、高いご飯を奢ってもらうよりも、壱馬が少しでも笑顔を見せてくれた方があなたは、ずっとずっと嬉しいのに……
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。