第36話

過去Part3
2,361
2021/05/15 08:27
最後に何でバレーをやらないつもりだったか話そう。





元々人見知りで話すのが得意じゃなくて、声も小さかったけど、


私はいい先輩に恵まれた。


頑張ろうと思えた。




だから日に日に声を大きくして、
先輩に話しかけて、



そしたら自分は変われてた。





大きな声を練習で出すことが出来て、

先輩達とすごく仲良くできて、


バレーが楽しくて仕方がなかった。








でも別れは来てしまうもので
先輩たちは卒業していった。


先輩達に副キャプテンに選んでもらった。


本当はキャプテンに選んでいたけど、私のポジションがセッターだったから

スパイカーがキャプテンの方が点数を取った時盛り上げることが出来ることと、




その子の方の指示は的確だし、実力があるから。という理由で副キャプテンになった。




副キャプテンになれただけで光栄だった。






このチームで強くなろう。

頑張ろうね。



そうキャプテンと誓って頑張ってた。






だけど_____








あなた
あなた
声出してー!
チームメイト
……
あなた
あなた
……は?
(何で声出さないの?)
キャプテン
声出してー!
チームメイト
はい!
あなた
あなた
(意味分かんない...)



私の指示はあまり聞かなかった。



キャプテンばっかり。







先生
明日どうする?
部活したい??
あなた
あなた
やります
キャプテン
やります
チームメイト
え〜、やだー!
チームメイト
休みたい〜



は、??



キャプテン
いえ、やります
チームメイト
え〜!!
あなた
あなた
(良かった...)


簡単に休みたい、休みたいって。


じゃあ何でお前らバレーしてるの??




んなやつ、辞めてしまえ。





心の中で何度も何度も怒り狂った













チームメイト
でさ〜
チームメイト
www
それヤバい!
あなた
あなた
(もうすぐ試合なのに
何呑気に喋ってんの?)



チームメイトがぜんっぜん練習に
集中してない時があった。


この時ばかりはほんとにぶちギレてた。




でもそれはもちろんキャプテンも気づいてて
1回みんな集めて言ってくれた



キャプテン
ねぇ、何でふざけてんの???
喋りすぎじゃない?もうすぐ試合なのにさ、ニヤニヤ、ペラペラしてさ。いつもあと1歩ってところで負けて悔しい思いしてるのは誰??
チームメイト
ニヤニヤ
チームメイト
、w
あなた
あなた
(何、笑ってんだよ、!?)
キャプテン
そのニヤニヤが!!!
1年生とかにも伝わってるって言ってるでしょ!?何、ニヤニヤしてんの!?
チームメイト
ビクッ
キャプテン
1年生も!!声出せって言ってるのに何でいつも出さないの???声ぐらい出せるよね?
チームメイト
……
キャプテン
……練習始めるよ。




私はこの時のことをよく覚えてる。





私自身もめちゃくちゃキレてたし、
キャプテンもいつも以上にキレてたし、




なのに……



副キャプテンなのに、






何も言えない自分が悔しくて。








本気で怒ってるのに笑われるのが悔しくて。








あんな風にみんなを引っ張れるキャプテンが
眩しくて。








自分は。


舐められてて、実力もたいしてなくて、
指示しても聞いてくれないのに、

それを見た両親に怒られる。



「大変なのは分かるよ。分かるけどね__」




そう言って私が悪いと言ってくる。


……何がわかるんだよ??





練習見たことねぇ癖に。


どんだけ辛いか知らねぇくせに。




私だっていちいちいちいち

声出して!とか色々言いたくないんだよ!?



だってバカみたいじゃん!!!


そんな基本の中でも基本なことを今更何回でも言ってさ。

それでも言うこと聞いてくれないしさ?




そのくせに勝ちたいね〜とか話してるの聞いたらムカつくんだよ!!!!


相手は本気で練習してるのに、まともに練習してない奴が勝ちたいねって、


失礼にも程がある!!!!





私がもっと実力があればもっとみんなは
言うこと聞いてくれたかな?

私がキャプテンみたいだったら、
信頼されてたのかな?


ちゃんと努力した分結果が出てたら、

両親にも認められたのかな。




経験者の父に

どれだけ罵られてきたのだろう。



「コイツポンコツやんもんww」

「センスない」

「下手くそ」

「ちゃんとせろよ2番!!」

「トスしっかりせろ!!」






お父さん。







私、頑張ってたんだよ。






"つもり"じゃなくて、

ほんとにちゃんとやってた。





結果が出なければ、


それは努力と言えないの?





悔しくて苦しくて辞めてしまいたいのを


心の中に閉じ込めて


人前で強がって、一人で泣いて、



みんなが見てないところで走って、

筋トレして、ボール触って、



声出して、滑って、火傷して、打撲して、




これは"頑張ってない"ことなの?








どうしてちゃんと見てないのにそんなこと言うの?






どうして笑いながらそんなこと言うの?







それを聞いてる私の気持ちなんてさ。
分かんないんだよね。



自分が完璧人間と思ってるから、



どんなこと言っても分かんないんだよね。







それで最後にはさ、


「娘だから他の人より怒ってごめん。」
「褒められることが少なくてごめん。」



とか、





綺麗事ばっか言って終わらせて。




"これが自分の優しさだ"

"自分はちゃんと教えましたよ"



みたいな言い方して、





「あなたちゃん、教えられる人が近くにいるって恵まれてるんだよ??」

「あなたちゃんはお父さんのお陰で上手くなったんだね」




そう周りの親とか先生に言われてさ。



誰も分かるわけない。
分かろうとしてくれない。


もう分かりきってることなのに、


傷つくんだよ。



今の私がお父さんのおかげ????



冗談やめろよ。






今の私は私自身が作り上げたものだ。

けしてお父さんが作ったものじゃない。




私自身が頑張ってきたことが積み重なって
今の私だ。



けしてバレーも上手くない。



お世辞なんて要らない。






思い出すだけで泣きたくなる。


それぐらい指導者の父がいることが
嫌な記憶だったから。



他の人に笑い話っぽく話そうと思っても、


やっぱり泣きたくなって途中でやめてしまう。






認められないし、上手くならないし、


才能も、センスも、



何一つない。




周りの言葉で

努力の仕方なんて忘れた。




頑張ることが好きだったのに出来なくなった。


そんな自分に、周りは興味が無い。



頑張りたい気持ちは山ほどある。

でも頑張ろうとすればするほど苦しくなる。



そんな自分に吐き気がする。







なんなら、辞めてしまおう。





バレー大好きだったけど、


別にみんなどうでもいいもんね!


「あなたちゃんバレー続けないの?もったいない!」


そんなこと言いながら本当は誰も気にしてないんだよ。










存在価値なんて無いんだ。




チームプレーが大事なバレーに



こんな私は要らない。





迷惑かけるだけ。








どこで間違えたのかな?








バレーが






好きだっただけなのに。




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