そして休憩時間に入った。
ここで気をつけるべきは
声を無意識に小さくしないこと。
明るく振る舞うこと。
不用意に近づかないこと。
だね。
今までボロがでてバレていたけど、
こうやってちゃんと意識すれば本当に誰も気づかない。
それくらい、自分で言うのもあれだけど
演技力はあると思うんだ。
本気で偽って、バレたことなんて
蛍くんでも、忠でも、ましてや両親もない。
……よし、ドリンク配ろ。
田中さん……やっとちゃんと(?)
コミュニケーション取れるようになって嬉しい。
前は何故かカタコトだったからな笑
そして私は今1番会いたくない……けど、
話さなきゃ行けない人の元へ行った。
おうおう、
そんなあからさまに驚かないでよ〜
ま、当たり前か。
そう渋々ドリンクを受け取る。
こうやって言えばスムーズに解決する。
そう。全部"私が悪い"
蛍くん、弱くてごめんね?
これで蛍くんのことは解決〜!
熱のことも、疑ってるようなとこは1ミリも感じ取れなかったし、ね?
やばい……頭がガンガンする。
早くドリンク配り終えて水道行こう。
本当に……、西谷先輩を好きと自覚してから
この笑顔にいつもやられる。
こっちまで笑顔になるような、
そんな西谷先輩の笑顔が大好きだ。
最近色んなことがありすぎて、西谷先輩とあまり絡みが無かったけど、
久しぶりに話しただけでめちゃくちゃ嬉しい。
……こんなの、初めてだなぁ。
こうやって小声で話してくれるのも
木下さんの優しさだよね笑
私が無理言ったのにさ。
まぁおんぶしてもらったけど……←
一応、ね!!
あとさっきみたいに首触られたら終わるわ。
今熱上がってるから。
木下さん意外と心配性……?
その枠は大地さんとスガさんと縁下さんだけかと思ってた(((
まぁとりあえず配り終えた。
水道……行こう……。
こんな頭痛くて吐き気するのに声出して平然とするのキツすぎる……。
でもフッと気を抜けば、そのままバレそうな気がするから気を抜かしたらダメだ。
顔、赤くなってないかな。
まぁそれ指摘されたら動いたので!!
とか言えばいいや←
あぁもう、でも寒い。
みんな半袖に移り変わっている時に寒いとはどういうこと???
もう平行感覚すら鈍ってる感じがするよ?
ちゃんと私立ててる?(?)
でもここで……、
頑張れ、頑張れ、頑張れ、頑張れ、
頑張れ私。
今熱が何度か分からないけど、
それでも部活終わりまで頑張れ。
あ……、
用事あるって言って皆よりすこ〜し早めに帰ろうかな?
一緒に帰ろう!とか言われたら流石にそこまで保てる気がしないし、
名案だ!!
大地さん……ごめんなさい……!
そんな笑顔で感謝されたら良心が……
ズキズキする……。
▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃▹◃┄▸◂┄▹◃
どうせ自主練手伝って...とか言うところだったんだろう。
テクテクテク
やっと気を抜いた。
もう視界の焦点もあんまり合わないし、
早く、、帰らないと……
ぶっ倒れる前に……。
「っと、……きみ……!」
なんか……聞こえる?
「ねぇ、ちょっと!」
わ〜なんか知らないけど無視されてるの可哀想〜
「ねぇってば!」
……ちょっとそろそろうるさい。
その時_______
グラッ
視界が、90度回転した。
ドサッ……、
もう、頭痛くて、吐き気もして、
何が何だか頭が回らなかった。
ここで私は意識を飛ばした____
_____NEXT。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。