だってこれは、私だけの問題であって
蛍くんと忠には関係がないし、
聞いたところでどうにもならない。
本音を言って、反応に困らせて、
最悪自分が言ってるうちに泣いてしまったら、
そう思ったら言わない方が圧倒的メリットがある。
……もーっと簡単に言えない理由を表せるなら、
言うのが"怖い"から。
蛍くんが怒る理由もちゃんと分かってる。
頼って欲しいのに頼ってくれないのは
悲しいもんね。
私も知ってるよ。
でも、ごめん。
もう、ほっとけばいいのに
こんな奴。
どうせ、言うつもりなんて無いし
もうすぐで家着くじゃん。
よし、
そう言って駆け出そうとした
ガシッ
蛍くんに強く腕を掴まれた。
振りほどこうにも振り解けない。
蛍くんはいくらほかの男子よりパワーが無くても
やっぱり男の子だから力で勝てない。
待って、、
忠行かないで、、、
今不機嫌な蛍くんと2人きりなんて
嫌なんだけど!?
そんな願いは届かず
忠は行ってしまった。
もう何なの……!?
グッ……
何でもなさそうな沈黙じゃなかったけどな。
まぁ別にいいけど……
本当にほっとけばいいのに
・・・
なんでいつも蛍くんは……
シーン
自分から聞いといてどうでもいい反応すな。
まぁ別にこれも嘘だけどね。
・・・・・・・
もう2人は帰ってこないし。
話したくない、
蛍くんの顔が見れない。
いざ口に出そうとしても
何かが喉に突っかかったような感じがして
なかなか言い出せない。
早く、言わなくちゃ。
でも、言いたくない。
例え蛍くんがどんな人かよく分かってても
それでも私には難しくて、
過去に傷つけられた心はやっぱり
簡単には治らなくて、
嫌だ。
口に出したくない。思い出したくない。
泣きたくない。嫌われたくない。
ほっといてよ。
声のトーンと口調ですぐに分かった。
蛍くんを怒らせてしまったと。
意味分かんない……
何も関係ないでしょ
……あぁ、
旭さんと西谷先輩の事で悩んだ時か。
そー言えば西谷先輩にも視線恐怖症を打ち明けたことを蛍くんは知らない。
……うるさい
うるさい
「フッ...お前がそんなだからwww」
アイツと、
クソジジイの言い方と蛍くんが言ったことが
重なった。
「…………クスクスww」
知らない選手がこっちを見て笑ってるのを
思い出した。
私が大っ嫌いな
あの簡単に人を笑うような態度。
人の思いを踏みにじるような
そんな笑い声。
プツンッ
その時
私の中の"怒り"と"悲しみ"の糸が
同時に切れた。
______NEXT。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。