第40話

何がしたいのか分からない
2,567
2021/05/23 05:33
孤爪研磨
孤爪研磨
ご馳走様
美味しかったよ
あなた
あなた
良かったです!
あ、アップルパイ作りますね?
孤爪研磨
孤爪研磨
うん……!



う゛っ……






孤爪さん年上なのに可愛い……!!!








早く作ってあげよう!








▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃▹◃┄▸◂┄▹◃



あなた
あなた
できたっ!いい匂い...



みんな呼ぶ前に孤爪さん呼ぼ〜!

あなた
あなた
孤爪さ〜ん!アップルパイ
出来ましたよ!
孤爪研磨
孤爪研磨
ダダダッ!.。゚+.(・∀・)゚+.゚


目がキラキラしてる...



あなた
あなた
他のみんなも呼びますけど孤爪さんに1番最初に食べて欲しくて!感想下さい!
孤爪研磨
孤爪研磨
いただきます...パクッ
モグモグモグモグ


美味しいかな?



孤爪研磨
孤爪研磨
何これ...すごく美味しい。
今まで食べた中で一番。
あなた
あなた
ホントですか!?
孤爪研磨
孤爪研磨
うん。なんか普通のアップルパイと
味違う...?よね?
あなた
あなた
これ、シナモン使ってないんですよ!
苦手な人もいるから...(((自分のこと
孤爪研磨
孤爪研磨
俺シナモン無い方が好きかも
あなた
あなた
なら良かったです!
じゃあみんな呼びますね〜
▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃▹◃┄▸◂┄▹◃



黒尾鉄朗
黒尾鉄朗
これ...あなたが作ったのか?
あなた
あなた
はい!お口に合うといいんですが...
夜久衛輔
夜久衛輔
いただきっ!パクッ
……うめぇ...
山本猛虎
山本猛虎
女子から手作り貰えると
思わなかった……(´;ω;)
犬岡走
犬岡走
何これ〜!?
めっっちゃうまい!
芝山優生
芝山優生
シナモン入ってないから初めてアップルパイ美味しいって思ったよ……



優生シナモン嫌いなんだ!


入れなくてよかった……




海信行
海信行
ご馳走様。みんな、もう部屋に
戻った方がいいんじゃない?
夜久衛輔
夜久衛輔
今日も疲れたし、そうするか!
福永招平
福永招平
(*꒪꒫꒪)(  ._.)(*꒪꒫꒪)(  ._.)
芝山優生
芝山優生
あなたちゃん!
作ってくれてありがとう!
あなた
あなた
いえいえ!じゃあ皆さん!
おやすみなさい!



みんな)おやすみなさい!









さて……






自動販売機行くか……





▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃▹◃┄▸◂┄▹◃



ピッ



ガコンッ






お水飲まないとあんま眠れないからさ〜







そういえば携帯今日ずっと電源落としてたな

何も無いと思うけど念の為確認___!?!?








不在着信

澤村さん20件
スガさん35件
翔陽65件
飛雄49件
けいくん7件
忠8件
田中さん55件
西谷先輩62件


メッセージ



「おいあなた!!どこにいる!?」

「携帯見ろ!!!」


「音駒のとこいるのか!?」

「戻ってこい!!」


「こっちカオスなんだけど!?」

「あなた!!何やってんだよ!?」


「みんなお前のこと心配してるぞ!」

「なんで何も言わなかったんだ!!」


「あなたが居ないと自主練できない!」



「あなた!!」

「あなた!!」











なんだこれ……



不在着信エグくないか???


けいくんと忠がまだ可愛いよ...






あなた
あなた
……っ
 



みんなのメッセージを読んでみる。




こんなにも心配してくれてる。




分かっていたはずだ。



何も言わないで敵のところに行って、

みんな優しいし、

皆が皆を大切にしているなんて分かってる、のに



怖かったんだ。





自分の存在がこのまま無くなっていきそうで。


存在価値が無くなってしまいそうで。



だからずっと電源を落としてた。




こんなに心配してくれてるなんて思わなかった。





安心したのと同時に

申し訳なさが込み上げてくる。






誰にも何も言わないでどっか行って、

勝手に不安になって、

勝手に決断して、

勝手に安心して嬉しくなってる私って、



すごい自分勝手で気持ち悪いなぁ...






自分の存在価値を分かっていたくて
やっているように思えてくる。







今ぐらい、泣いていいよね。

1人なのに今日は頑張ったんだ。


自分の居場所は烏野ここだって分かったんだ。


皆に心配されて、自分の存在価値がある事を分かろうとしてる自分が気持ち悪くて仕方ないんだ。




もう泣かせてよ……













プルルルルッ




あなた
あなた
うわっ...!!




ポチッ






あ、間違えて押しちゃった……!!



菅原孝支
菅原孝支
!!!繋がった……!!
おいあなた!今どこだ!?
あなた
あなた
スガさん...
日向翔陽
日向翔陽
あなた!?お願い帰ってきて!
影山飛雄
影山飛雄
自主練手伝ってくれるんじゃ
無かったのかボゲェ!!
澤村大地
澤村大地
全くお前は何も言わずに...!
田中龍之介
田中龍之介
あなたちゃあああああん!!!!
戻ってきてくれぇぇええええ!!!!
西谷夕
西谷夕
お前、何やってんだよ!!!
月島蛍
月島蛍
ちょっ、うるさ...
山口忠
山口忠
俺もツッキーもみんなも!
あなたのこと心配してたんだよ!?



あぁ、みんなが心配してくれてる。



これを聞いて安心してる私って何?w





気持ち悪すぎるんだけど





あなた
あなた
...ごめんなさい。まだ戻れません。
何も言わなかったのは悪いと思ってます
あなた
あなた
ちゃんと相手の事も見てきます!
安心してください!
あなた
あなた
じゃ、もう切りますね...
菅原孝支
菅原孝支
ま、待て、!
あなた
あなた
ごめんなさい
菅原孝支
菅原孝支
え__




ブチッ



ツーツーツー







はあああ、やっちゃったな。





本当にごめんなさい。


あのままだったらきっと泣いてしまうから。



































?)おじょーさん??暗い顔してどしたの?













あなた
あなた
!!
黒尾鉄朗
黒尾鉄朗
ごめん、電話聞こえちゃった。
スピーカーだったから
あなた
あなた
黒尾、さん



聞かれるなんて最悪...



黒尾鉄朗
黒尾鉄朗
……何も言わずにこっちに
来たのか?
黒尾鉄朗
黒尾鉄朗
俺らは来てくれて助かるけど、
烏野の皆は心配してるじゃん
黒尾鉄朗
黒尾鉄朗
理由があるなら俺で良ければ
聞く……てか話して。



これは……拒否権無いな。



そりゃあそうだ。話し合って私が音駒に来たと思ったら、本当は何も言わずに私が勝手に音駒に来たんだから。




あなた
あなた
わ、たし、好きな人がいるんです
烏野のバレー部に...
黒尾鉄朗
黒尾鉄朗
!……うん


もういい。



本当は話したくないけどやけくそだ。




あなた
あなた
初めは皆が私ともう1人のマネージャーは行かせないって言って断りの電話を入れることになってたんです。
あなた
あなた
でも音駒も困ってると思ったし、
……1回考えちゃったんです。
あなた
あなた
「もう1人のマネージャーが音駒に行ったら好きな人は私を少しでも見てくれるのかな」って
黒尾鉄朗
黒尾鉄朗
!!



西谷先輩は清水先輩の事が好き、なのに。



その考えを一瞬でも過った私は馬鹿だ。





あなた
あなた
でも好きな人はきっともう1人のマネージャーが好きだから、もう私もこんな考え持ちたくなかったし、
あなた
あなた
それなら自分が音駒に行ってサポートしに行くのが1番いいなと思って……




今泣くのマジで我慢してるから喉元が痛い。


鼻先がツンとする。





感情を必死に無にしようとする。





黒尾鉄朗
黒尾鉄朗
そっか...ごめんな
そんな事話させちまって
あなた
あなた
い、いえいえ!
黒尾鉄朗
黒尾鉄朗
でもお前、さっきも聞いただろ?皆に愛されてるじゃん。
黒尾鉄朗
黒尾鉄朗
あんなに皆に心配してもらってさ。
あなた
あなた
ハ、ハハッ。それを聞いて自分の存在価値を分かろうとする私って何でしょうね?
黒尾鉄朗
黒尾鉄朗
え……?


自分に対して怒りが込み上げてくる。
あなた
あなた
安心しましたよ、すごく。でも勝手に私がこっちに来たから皆優しいから心配してくれるのは分かってました
あなた
あなた
ここまでとは思わなかったけど...笑
私もしかしたら心配してほしくてこっちに来たのかな、なんて。気持ち悪いですね笑


本当に、こんな自分気持ち悪い。




黒尾鉄朗
黒尾鉄朗
俺はそうは思わない。
あなた
あなた
え、?
黒尾鉄朗
黒尾鉄朗
あなたは自分なりに考えて音駒ここに来たんだろ?望んだわけじゃなかったからこっちに来ても仕事なんて最悪やけくそになる。
黒尾鉄朗
黒尾鉄朗
でもあんなに周り見て気遣い出来ねぇし、あそこまで丁寧にマネ業するやつ初めて見た。
黒尾鉄朗
黒尾鉄朗
気持ち悪いなんて思わねぇよ。こんなに頑張ってるのに、こっちだって凄い感謝してんだ
黒尾鉄朗
黒尾鉄朗
もっと自分を褒めろ。
自分で首を絞めたら苦しくなるぞ




何でこんなに温かい言葉を私にかけてくれるの?




ましてや好きな人とか、バレーを一生懸命頑張ってる人達に失礼なのに。




でも、嬉しい



あなた
あなた
ありがとうございます……
黒尾鉄朗
黒尾鉄朗
ん、明日も早いしもう寝な?
お疲れ様ポンポンッ



そう言って私の頭を撫でて

黒尾さんは行ってしまった。







大人だなぁ……










でも自分への嫌悪感は消えないまま
私は部屋に戻った














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