プチン
もう私の中の何かが崩れた。
蛍くんはやっと私の顔を見て驚く。
だって涙が沢山零れているのだから。
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さっきから……聞いてればペラペラと話して
鼻で笑ってさ。
あの人を馬鹿にするような笑い方は私がいっっちばん大っ嫌いなものなんだよ。
私の気持ち分からないくせに
いや、分からなくても良かったのに、
私には私の考え方
感じ方
生き方がある。
自分がその行動を選んだのだから
蛍くんにあーだこーだ言われる筋合いは無い。
しかもそれを笑われるのは許せなかった。
どうせ言ったところでどうにもならない。
言うつもりなんてサラサラ無かった。
勝手に心配なんかしたのはそっちでしょ???
もうこの時の私は完全に悲しみなんか消えて
怒りで心を占めていた。
でも……
分かってる。
私の事は私自身が1番よく分かってる。
だから蛍くんのさっきの言葉が事実なのも
分かってる。
なのになんで、
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「迷惑かけるな!!!!」
なんで
私、涙が止まらないんだろう。
自分がどんな奴か、なんて
1番よく理解してるのに。
なんで言葉にしたらこんなにも
どこかに刺さるものがあるんだろう。
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パチンッ
私は今、
何が起きたかすぐには分からなかった。
ただ気づいた時には
頬にヒリヒリとした痛みがあって、
思わず座り込んでいた。
やっとそこで理解ができた。
蛍くんが、私の頬を叩いた。
____NEXT。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。