そう言って笑った
・・・
笑ったつもりだった。
西谷先輩の指が私の目元に触れる。
え、泣く??
私は気づかないうちに涙が出ていた。
これもHSPのせいだ。
もう何度も何度も
友達、親、先生、
色んな人にどれ程否定されてきたか。
しかもそれを自覚なんてしてない。
本音を言えば否定される。
それが怖いから、話したくない。
そういう考えから涙が出てくる。
中学の時に保健室の先生に視線恐怖症を打ち明けた時だって、泣くつもりなんてなかった。
でも話してるうちに号泣した。
今思えばあれもHSPのせいだった。
五感が他の人より強く働くって、
良いのやら悪いのやら。
日向)どこにも行かないから!
一人で抱え込むな!
お風呂に上がったばかりで西谷先輩は髪も乾かしてないし、湯冷めもしてるだろう。
こんな話に付き合ってもらって申し訳なくなった。
私と話していたい...?
キューン
また私の中から聞いたことない音がした。
モヤモヤとは違う感じ。
嬉しくてふわふわする……けど!
そう言ってダッシュで部屋に戻っていってしまった。
あんなに嬉しそうか反応されたら...
私は火照る頬に西谷先輩から貰った水を当てて
ひんやりとした冷たさを感じながら
私も部屋に戻った。
「明日も話しませんか?」
その約束が果たされないことを知らずに
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私は随分間抜けな声を出してしまった。
いやいやいや、だってさ、
みんな)はぁぁぁぁぁ!?
みんな驚きの声が上がる。
そう即答するスガさん。
続けて田中さんも同意する。
……音駒は都会人だし、
こっちに慣れなくても無理はない、のか?
あ、もう私手伝うの強制なのね。
まぁいいけど。
そう、だよね。
行って欲しくないよね。
でも他の人は2人とも行かせないと言ってくれる。
……けど、西谷先輩に言って欲しくないって
でも、
誰の耳にも届かない。
武田先生もあたふたしてる。
澤村さんがパンっと手を叩いて
みんなそれぞれ部屋に戻って行った。
でも、ほんとにいいの???
音駒も困ってるからうちにお願いしてきたわけだし、
私の清水先輩でマネージャーが2人いるから
1人抜けても支障無いだろうし、
私か清水先輩。
どちら行った方がいいよね……
清水先輩が行ったら西谷先輩は
私のこと、考えてくれる……?
私、こんなに性格悪かった?
こんな自分嫌だ。
それに西谷先輩だって……
清水先輩が行って欲しくないに決まってる。
他の人も2人とも行かせないって言ってたけど、
実際居なくても大丈夫だ。
見ててわかる。
西谷先輩と明日また話そうって約束したけど
……忘れてるよね?
じゃあ私がやるべき事は
ただ1つ_____________
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翌日
クンクンっ
この匂いは…… 飯っ!!
エプロン姿の清子さんがいた!
そう寄って行こうとすると
ガッ!
2人)うぃっす……
大地さんに怒られた。
みんな朝から元気で騒がしい。
でも1人だけ静かな人がいた。
スガだけじゃない。清水も何だか静かだ。
どうしたんだ、?
みんな)!?
そういえばまだ姿を見ていない。
寝てるのか??
いや、それは考えにくい。
もう清水は早く起きてここに来ている。
あなたはそんな寝坊するやつじゃない。
どうして…………
まさか_________
みんな信じたくなかった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!