『場地…?』
そう言っても気づかない場地はどこか虚ろな目で立っていて、空をただ見上げていた。
今日はいっそう綺麗なそらという訳でもない。それなのにどうして…
『場地!』
ちょっと大きめの声で話しかけると、はっとした顔で私に勢いよく顔を向けた。
場地「ぉ…おう!あなたか!」
ニカッと笑う彼だけれど、少しだけ違和感を感じた。
この違和感がなんなのかは分からないけれど、彼の今の笑顔を100信じてはいけない気がした。
場地は、私がレジ袋を手にぶら下げているのを知るとにやっと笑って
場地「お前、誰かさんちの嫁みてぇだな」
そういった。
『えっ…!』
私が驚いた顔で場地をみると、彼は みんな知ってるぞ といって私のレジ袋を持ってくれた。
その間、彼とは色々なことを話した。
テストの点数が最近5点あがったと自慢げに話していたけれど実際はまだ赤点を回避出来ていないこと、それを彼を慕ってくれている人には赤点という事実を伏せて話していること、それで最近罪悪感を覚えたということなど…いろいろと聞いた
だけど色々話を聞いてく中時折、東京卍會についての話をきくと悲しそうな…どこか切なそうな顔で笑うだけだった。
10月という時期になぞらえて出てくる街のハロウィンポスターやお菓子の広告、かぶりものやコスプレ衣装なども目に入らず
彼はなにかあるのではないか?と思った時ちょうど春千夜くんの家の前に到着した。
おらよ と渡されたレジ袋。
私はそれをぼーっとしたまま取った。
『ありがとう…』
そうつぶやくようにいうと、
場地「おう、お前らうまくやってけよ」
なんていって手を振るから、わたしはその後に生まれた疑問について何も触れることは出来なかった。
next.
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!