〜時透side〜
鈴音子は月を見たまま。
僕はそんな彼女をじっと見つめていた。
僕に気づいたのかチラッと目と目があった。
ドキッと胸が鳴った。
今宵は黄色い月だったけど、綺麗な黒髪がその光を反射して、彼女の髪やら何までが光って見えた。
僕はふいっとそっぽを向いて、なんでもないと言った。
顔が熱くなるのがわかる。
彼女は少し暗い顔をしていった。
稀血は人間の中でも稀に生まれる、鬼にとって血がとても美味しい人らしい。
確か風柱の不死川さんも稀血だった気がする。
稀血は鬼に襲われやすい。
そのため、犠牲者も多いんだ。
彼女から少し、悲しそうな匂いがした。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。