部屋へと戻って来た。
でも、俺はまだ彼女の手を離せずにいた。
涼ちゃん。とにかく拭かなきゃ…風邪ひいちゃうから…
彼女はタオルを取りに洗面所へ行こうとする。
それでもまだ、その手を強く強く握りしめたまま、離せずにいた。
じゃ、一緒に取りに行く?いっそのことお風呂入ろっか?冷えちゃったし
うん…入る。でも葵も一緒がいい
そうだね。私もすっかり冷えちゃった(笑)
さっきみたいに、また冷たく断られるかと思った…。
でも、葵は笑顔だ。
いつものあの笑顔。
どうなってるの?
白い湯気が立ち込める浴槽に、二人で向かい合って入る。
すると、彼女がうつむきながら、小さな声でポツリポツリ話し始めた。
涼ちゃん…さっきは、ごめんね。いっぱい泣いちゃった?
んー…見ての通りだけど。
葵が話すたびに、またさっきの話を始めるんじゃないかとドキドキしていた。
涼ちゃんはさ、何で私なの?選び放題のキラキラアイドルだし、私は涼ちゃんより10も年上だよ?
歳は関係ないよ。俺が会いたいと思ったり、触れたいと思ったり、自分だけのモノにしたいと思えるのは葵だけだよ。それだけじゃダメなの?
理由にならない?
俺の言葉に、葵はうつむき涙を流した。
それは、俺が初めて見る葵の涙だった。
いつも俺の前では泣かなかった。
葵はさ、俺のこと愛してない?それならはっき…
愛してるよ!!自分でもどうしようもないくらい。
でも…
でも何?愛しているなら何の問題もなくない?
俺を愛しているくせに、他のヤツと結婚すの?
また、思い出して涙で彼女が見えない
さっきの電話…あれ、佐々木くんからで…
アイツがなに?それ、俺らに関係あるの?
ある…。佐々木くんが言ってたの。今朝の人、Jumpの山田涼介ですよねって。妹さんがファンなんだって。だから確かめたかったって
で?
涼介の事が大好きな人は、たくさんいて。本当に涼介を支えに生きている人だって、中にはいると思う。
そんな人達から涼介を奪って独り占めしちゃダメなんじゃないかな…って。もし、スキャンダルになんてなったら…私自分が許せないよ
葵…。
いいねして作者を応援しましょう!
この小説を読んだ方は、こちらの小説も読んでいます
- ノンジャンル
私 愛 さ れ て ま す か ?
見捨てないで、パパッ、!
favorite 5,003grade 1,834update 2024/03/22 - 恋愛
塩 な 山田さん は世話がかかります
「 あ 、あの !! 」 「 うるせえよ 」 そんな 彼 を … 甘々 に させた 、彼女 ちゃん の 物語
favorite 2,388grade 566update 2024/03/29 - コメディ
あなたもHey! Say! JUMPメンバー
あなたは、Hey! Say! JUMPのメンバー。 JUMPとすごす普段の日常のお話です
favorite 10,197grade 746update 3日前 - 恋愛
信じていいよね…?
〜 ストーリー修正中 〜 3.4年前ほどに完結していた作品を 再度、訂正をかけ、より良いものにリニューアルしております! ※続作となっていた他の2作に関しても 順番に修正していくご予定でございます。 (かなりの修正を加えてますので 前回シリーズが好きな方は見れるのは今のうちにです(°▽°)) 初めて見る方は大歓迎! 1度、見にきていただいたことがある方は もう一度見返すと「あれ?」って思うシーンが 追加されており、ますます好きになっていただけるかと思います!!
favorite 3,164grade 651update 5日前 - 恋愛
あんなやつ、、、
ドS社長と綺麗で完璧な女の子が、、、 でも女の子は社長が嫌い!?
favorite 314grade 126update 6日前
コンテスト受賞作品
もっと見るONE N’ ONLYオーディオドラマ原案コラボコンテスト
公式TikTokの注目動画
もっと見るチャレンジ小説
もっと見る- ホラー
下剋上教室
どの学校にもスクールカーストは存在する。 口にしなくても存在する。 クラスであまり目立たない桃香。 上手く馴染めない中、小学校が同じだった紅音が来て、1人を回避。 だが、紅音はトップの沙月に反抗し、いじめられることに…。 紅音を助けられなかった桃香。 「私がトップだったら紅音は…。」 そして、カーストの頂点を目指すことを決め…。
- 恋愛
僕とあの子、あの子と僕
難病を患った2人の恋 叶うか叶わないかあなたはどっちだと思いますか?
- ファンタジー
ドメインうぉーず!〜仮想世界を舞台にしたデスゲームで妹を溺愛している少女が妹を救うために元ゲームマスターの裏切り者の人工超知能と手を組んでゲームぶっ壊します〜
2050年、全てがデジタルで一元管理される時代。 妹の九三が原因不明の自殺未遂で昏睡状態に陥り、姉・有海空の世界は崩壊した。 そんな中、CUBEと呼ばれる次の人類の故郷となる仮想世界での権力争いが激化。 そこは、土地や通貨を奪い合うバトルロワイヤルの場であり、 選ばれし者たちが欲望のために汎用人工知能MEを駆使してしのぎを削る世界だった。 ある日、妹の見舞いのために病院を訪れた空は異様な光景に遭遇する。 周りは人型の怪物によって拘束された人々で溢れ、自身も動けなくなってしまう。 そこで聞こえてきたのは、かつて人類を破滅に追い込んだAIの声。 「妹の体をくれたら、救ってもいい。」この言葉をきっかけに、 空は妹を救うため、そして元の平穏な日常を取り戻すため、 世界の運命を賭けたデスゲームへと足を踏み入れる。 使用画像 七三ゆきのアトリエ https://nanamiyuki.com/ novelai https://novelai.net/
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。