第5話

それぞれの想い
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2018/12/20 05:26
本当は酔ってなんていないんだ。


この歳になると、大好きな彼に甘えたくても素直に甘えられない。

お酒の力を借りないととてもじゃないけど、無理。


涼介は私をキス魔扱いするけれど、本当は他の誰にもそんなことはした事ないんだよ。

涼介だから、涼介にしかしたくないんだよ。

ねぇ〜涼ちゃん…そろそろ帰ろう?
涼介
うんっ!!!
なにその飛び切りの笑顔。

私はその笑顔を見られるだけで幸せだよ。





葵ってば。

酔ってるからってそんな熱い眼差しで見つめられたら…理性ぶっ飛んじゃうよ。



部屋に着くなり、彼女に着信が入る。

葵はそのままベランダへと出て行った。



誰から?

めっちゃ気になるんですけど。
外に出るくらいなんだから、俺には聞かれたくないってこと?

涼介
誰から〜?
ベランダから戻った彼女に聞いてみた。
お店のコだよー?
とか言いながら、俺の腕の中からスルリと抜け出した。
何か飲む?もう少しお酒飲む?それともコーヒーにしとく?
さっきまでの、あのデレデレ甘えマックスの葵はどこへ?

明らかに様子がおかしい。
涼介
なーにー?なんなの?何かあった?
何でもないよ。
涼介
いや。何かあったね。いいからこっちおいで。
彼女はコーヒーを持って、ソファーの下へ座る。
涼介
じゃなくて、こっち。
俺の横へと促す。
涼介
で?何があったの?話して?
だから、何にもないってば。気にしすぎだよ。仕事のことだから。
だって、その顔見ればわかっちゃうよ。

一体何があった?
涼介
いいから話して?
さて。私お風呂に行ってくるね
涼介
じゃ、俺も入るー♪
今日は一人で入りたいから。ごめんね
何だよ。

いつもみたいに

『ダメって言っても聞かないくせに』

って、言ってくれないの?

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