第2話

殺し屋は眠る。《#1》
709
2021/11/29 09:55
  ⚠︎グロ表現あり

  また長いです。すみません。
レトルト
レトルト
くん、ヨくん、キヨくん!
  こんなはずじゃなかった。
  ねえどうか。
レトルト
レトルト
目ぇ覚ましてよっ!
  俺の名前はレトルト。って言っても
  本名じゃない。本当の名前なんてとっくに忘れた。
  じゃあこの名前は何かって?それは
  “殺し屋としてのコードネーム”


  、、、だよ。
  何で殺し屋やってるのかっていうと、
  小さい頃親に売られたんだよね、殺し屋の組織に。

  うちの親は母親が俺を産んだ直後に死んで、
  元々金遣いが荒くよくパチンコに行ってた父親が借金をした。
  父親は俺の母親が居たからなんとかなってたらしいが、
  母親が死んじゃって元の癖がさらに悪化したらしい。

  働いたことのなかった父親は俺を殺し屋の組織に売って
  金を貰ったらしい。
  後で聞いた話だと、俺のことはどうでも良かったらしい。
  そして、その一ヶ月後に交通事故で死亡。
  実際俺の父親のことなんて一回も父親と思ったことは無いし、
  ざまぁみろって思ったね。
  で、当時2歳にも満たなかった俺は、
  まだ社会のことを何も知らなかったから、
  殺し屋なんていう一般人は就きたくないような仕事でも、
  洗脳なんて簡単に出来るから
  やらせるのに丁度良いと思われて組織の人に育てられた。
  組織の思惑通り、俺は殺し屋になった。
  最初に人を殺したのは、、、13の時だったかな、
  社会のことを色々知って、人殺しは犯罪だってのも
  知った頃だった。

  当然、最初に殺し屋になることを勧められたときは、
  猛反対した。今まで周りと同じ環境で育ってきて、
  てっきり自分も普通の人生を送るものだと思っていた、
  なのに、実は親だと思っていた人が赤の他人で、
  しかも人殺し。
  なんて言うか、本当に「空いた口が塞がらない」
  なんてことあるんだなぁって思ってもいた。呑気過ぎる。
  猛反対した俺だったけど、
  やっぱり大人には勝てない。

  「今まで育ててきたのは私達だ。
   いい加減此方の言う事も聞け。」

  「私達は元々、お前を殺し屋にするつもりで
   お前を育てた。お前が殺し屋にならなければ、、、
   どうなるか分かるな?」

  「いつまでも自分の意見を通せると思うなよ。」


  、、、こんな言葉を言われりゃあ、誰だって従うだろう。
  今まで生かしてもらえていた。今更殺される訳にはいかない。

  そう思って、殺し屋になってから早13年。
  今日も俺は殺し屋として、ターゲットを尾行していた。
                    ザザッ
キヨ
キヨ
あ、レトさん、今ターゲットが南へ向かったよ。
多分そのままレトさんのとこに行くと思うよ〜
           カチッ      ピッ
レトルト
レトルト
了解。
  今話していたのはキヨ。
  俺が19の時に、俺と組む事になった奴だ。

  いわば相棒。

  そんときのキヨくんは確か、、、16だったと思う。
  俺も深くは知らないが、キヨくんも幼くして殺し屋になった1人だ。
  キヨくんと組むまで、俺は一人で殺し屋をやっていた。
  誰かと組むなんて想像も出来なかったし、
  第一他の人に見られたくなかった。

  最初に会った時は、なんかうるせえ奴だなって思った。
  幹部に呼び出されて、その幹部の部屋に入った時、

  「お、やっと来たぁ!何分待たせんすか!w」

  って急に見知らぬ奴に言われたから
  普通にやべえ奴だなって思ったよね。

  俺は幹部の奴と一緒にいる時はほぼ黙るのに、
  こいつは気軽に喋ってる。しかも何も言われてない。
  きっと何かあるんだろうな、とは思った。

  その後、「コイツと組んでほしい。」
  って言われたから速攻で拒否したよね。

  そっちには何か企みがある。
  で、そんでもってコイツやべえ奴。
  めっちゃ喋るから恐らく陽キャ。
  俺陰キャだから絶対息合わなくて死ぬ。

  もうこれしか想像出来なかったよね。

  でも、なんでかな、試しに組んだ時、
  凄い息ピッタリだったんだよね。
  ずっと前に、何処かで会ったような気がした。

  何処だったかな、、、あれからずっと引っかかっててーーー
         タンタンタンタン
レトルト
レトルト
あ、キヨくんの言った通りこっち来た。
        カチッ   ピッ
レトルト
レトルト
ターゲットを確認。
尾行します。
              ザザッ
キヨ
キヨ
りょーかいっ!
                ザザッ
  、、、。ほんと元気だよな。
  ターゲットが気づいて
  攻撃してきたらどうすんだy
                ザザッ
キヨ
キヨ
ぁ”あ”っ”!!
レトルト
レトルト
、、、!
  キヨくんの声が遠い。
  俺らが会話に使ってる機械は、
  一度スイッチを押してから、
  もう一度スイッチを押さなければ
  通話を終了出来ない。

  つまり、キヨは攻撃された。

  キヨくんは相手の攻撃を受けて、機械を落とした。
  その衝撃で、スイッチが押されて向こうの状況が聞こえている
  、、、と考えるのが妥当だろう。

  流石にキヨくんも馬鹿じゃないから、
  意図的にスイッチを押して落とせば、
  相手に速攻でバレる。
  余程の演技力が無ければ、の話だが。
  さて、どうするか。
  といっても、ゆっくり考える暇はない。

  今ここでキヨくんを見捨てれば、
  俺がターゲットを尾行して、そのまま暗殺。
  だが、キヨくんは命令に従えず、恐らく罰される。
  その罰がどれだけ重いか。
  というかそもそも、相手は恐らくターゲットのSP。
  ここで殺される可能性がある。

  一方、ここでターゲットを諦めれば、
  キヨくんを助けられる可能性があr
             ザザッ
キヨ
キヨ
ッッ、、、いやぁ危なかったぁ!
まあでも上手い具合に倒せて良かったわ!
どうせ邪魔だと思ったからSP全員殺っといたよ〜
            カチッ  ピッ
レトルト
レトルト
、、、は?
キヨ
キヨ
だからぁ!殺っといたよって!
言ってんの!
レトルト
レトルト
お前さぁ、、、そんな大声出して大丈夫?
キヨ
キヨ
んあ?あぁ、そこら辺は大丈夫。
俺意外としっかりしてんの!
偉くね?
レトルト
レトルト
ハァ、、、まあいいよ。
で、怪我は?
キヨ
キヨ
、、、え?怪我?
レトルト
レトルト
怪我だよ。
さっき明らかに致命傷受けた感じの声
聞こえたんだけど。
キヨ
キヨ
、、あぁ、最初の一発は不注意。
別に大丈夫だよ。
レトルト
レトルト
、、、。
  ここで聞いておくべきか。
  この感じは確実に怪我してる。
  ここで無理に吐かせるだけ無駄かな、、、。
  とりあえず先に目標を殺すか。
レトルト
レトルト
、、、そう。
じゃあ俺はターゲットを追うから、
予定通りやるよ。
キヨ
キヨ
おっけー!
             カチッ
  キヨくんと小声で話しながらこっそり追っていたターゲットは、
  ちゃんと予定の場所に来た。
  今回のターゲットは、人を騙して金を取る富豪。
  こういう悪い奴を殺して正義っぽく見せる時もあれば、
  ただ単に組織の上が要らないと思った奴を殺す時もある。

  予定ではここの地下2階で俺が殺すことになってる。
  パーティーに招待されてるターゲットが、準備のために
  地下2階の控室に行った時に一発で殺す。

  キヨくんは案内役に扮して地下まで連れてく。
  じゃあその流れで殺せば良いじゃんって思うかもだけど、
  キヨくんは静かにしてらんないんだよねぇ、、、。
  なんかあったら即話しちゃいそうでさ、危ないから俺がやってる。
               ザザッ
キヨ
キヨ
ターゲットを地下に連れてってまーす
              カチッ      ピッ
レトルト
レトルト
了解。
              カチッ
  キヨくんが報告するのはターゲットを案内する時に最初に会った時。
  そろそろ向かおう。

  今俺がいるのが地下2階のスタッフ控室。
  ターゲットを殺す部屋までは、大体50mくらい。
  バレないように変装はしてるから防犯カメラに写っても
  大丈夫っちゃ大丈夫だけど、
  組織がこの辺厳しいから(人バレるとそっから追われる)
  なるべく写らないルートを選ぶと、結構遠回りになる。



  部屋に入ったらクローゼットに入り、
  ターゲットを待つ。
  ターゲットが俺から見て後ろを向いた時に殺る。

  、、、うん。シミュレーションオッケー。
  そんな事を考えながら部屋に着く。
  よし、音を立てずに、、、。
































                   パァン

























  、、、長い、長い一瞬だった。
  動けなかった。
  そして、すぐに状況を理解、、、したくなかった。

  でも、理解するしかなかった。

  急いでキヨくんの元へ向かう。
         ダッダッダッ
  キヨくん、キヨくん、生きてろよ、、、!
  エレベーターがある道へ曲がったその時。
キヨ
キヨ
う、、、あ、、レトさん、、、。
  其処には。
  肩から血を流した、キヨくんが居た。
  敵はキヨくんに蹴散らされたのか、
  全員倒れていた。恐らく息は無い。
レトルト
レトルト
キヨくん!?無理すんなよっ!?
キヨ
キヨ
あ、はは、ごめん、ね、、、?レトさん、、、。
迷惑かけちゃうね、、、。でも、、、。
                バタッ
  キヨくんが、床に倒れる。

  暗殺どころじゃない。いや、


  どうやら、キヨくんは、さっき撃たれてから、

  一瞬の隙を突いて、ターゲットも殺していた。そこら辺は感心する。

  死体の処理は、、、。

  うっしーに頼めれば良いけど、、、。
            カチッ   ピッ
レトルト
レトルト
うっしー、聞こえる?
牛沢
牛沢
あ”?なんだよ
レトルト
レトルト
キヨくんが撃たれた。
牛沢
牛沢
、、、死体の処理?
レトルト
レトルト
流石話が早い。
牛沢
牛沢
ったくさぁ、、、こっちも暇じゃねぇんだよ、、、
牛沢
牛沢
まあ仕方ねえ、やるよ。
たまたま今は仕事ねぇから。
レトルト
レトルト
ありがと、うっしー。
牛沢
牛沢
次はねぇよ?
レトルト
レトルト
とか言いながら次もやってくれるじゃん。
牛沢
牛沢
うっ、、、。
牛沢
牛沢
、、、とにかく、キヨをさっさと治療しろよ、
死なせんのはごめんだろ?
レトルト
レトルト
そうだね、ゆっくりしてらんない、
じゃあよろしく。
牛沢
牛沢
あぁ
           ザザッ  カチッ
レトルト
レトルト
さて、キヨくんを運ばないと。
  さっきうっしーと話している間に、ある程度布を巻いた。

  これで少しは持つはず。
  急いでアジトへ運ぶ。

  医務室には仲間が居るから、、、
  まあキヨくんが怪我したとかの情報は行かないだろう。

  とにかく急がなければ。
  、、、さっき悠長に喋ってるんじゃなかった。
  キヨくんの息がか細い。

  もう時間がない。

  取り敢えずあの場で布を巻いておいたものの、
  移動に結構時間がかかっており、大量に出血していた。

  もう少し血を止めておくべきだったか。

  でも、そんなこと考えてる場合じゃない。

  早く、早く、、、!
フジ
フジ
、、、肩と足からの大量出血。
目が覚めるのは、、、少し先になりそうだね、、、。
レトルト
レトルト
そう、、、なんだ、、、。
  この人はフジ、俺ら組織専属の医者で、
  俺やキヨくん、うっしーの味方。
  キヨくんとは昔からの友人らしい。

  あの時言わなかったけど、うっしーも殺し屋。
  俺の少し年上で、俺より前に殺し屋になってる。
  俺が入ったばかりの時に、
  凄く親切にしてくれたことがきっかけで、
  よく他愛もないことを話している。

  あともう一人、ガッチマンって人も居て、
  俺ら5人くらいの中では最年長。
  キヨくん、うっしー、ガッチさんの三人で、
  任務をこなすこともある。
  +医者で怪我したときよく関わるので、
  フジくんとも仲良くなった。
  、、、あの時忘れていたけど、
  キヨくんはその前に攻撃されていた。

  何処に攻撃されたか分からなかったし、
  足だったのでズボンで隠していた。
  気付ければ良かった、、、。
フジ
フジ
今は安静にさせておくべき。
無理に起こさない方が治りも早いよ。
、、、少し事務作業があるから、部屋出るね。
レトルト
レトルト
、、、分かった。
         パタン
  2人きりにしてくれた。
  暫く目が覚めないと知って、心に傷を負った俺を見かねて、
  この部屋を出て行ったのだろう。

  彼の優しさに甘えて、目を瞑ったままのキヨくんに、
  思い切り抱きつく。

  怪我をさせてしまったことへの謝罪の気持ちと、
  暫く話せないことへの寂しさ。
  キヨくんに怪我を負わせた敵への怒り。

  いろんな気持ちが混ざり合って、只々、

  「ごめんね」

  と言いながら泣くしかなかった。
主(黄色の蠍)
主(黄色の蠍)
長過ぎる前編、終了です。
主(黄色の蠍)
主(黄色の蠍)
これ、短編じゃなくね?って思った方、
すみません、思いつくままに書いてまして、、、。
主(黄色の蠍)
主(黄色の蠍)
なのでまあ、後編で矛盾が起きるかもしれませんが、
何卒ご了承を。
主(黄色の蠍)
主(黄色の蠍)
それではこの辺で、
おつきい!
  p.s.

  これ5300文字くらいあります。

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