なんだかすごく盛り上がってるし今のうちにさっさと入ってさっさと出てしまおうか。
そう言うころんくんは全裸である。
やめろ。友人の息子なんて私は見たくない。
……さとみ先輩が何か言いたそうにじっとこちらを見ている。
…え?
うそ…なんで!?
どうしようどうしようどうしよう!!!
ためらいつつも昔あったいじめのことをゆっくりと話した。
それから高校では普通に友達を作って普通の生活がしたいと。
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さとみ先輩!?!?いくらなんでもそれは酷くないですか!?
そう訴えるようにさとみ先輩を睨みつけるとさとみ先輩はあからさまに目を逸らした。
みんな信じてるけど……確かに信憑性は高いけど……!!!
でもこれって酷くない!!?!?!
はぁ、助かった…
そう言うとさとみ先輩は逃げるようにすたすたと前を行ってしまう。
言い忘れたことを思い出してさとみ先輩の浴衣の袖をグイと引っ張る。
なんだか素直にお礼を言うのが急に恥ずかしくなってそれだけ言うと私は走って逃げた。
走って逃げた私の耳にその声は届かなかったし、さとみ先輩の顔がタコのように赤くなっているのも分からなかった。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!