ピコンッ
『今すぐ学校の屋上に来なさい。約束覚えてるわよね?2分以内よ。』
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バシャッ
そう言って彼女はまた楽しそうに私を蹴る。
私はぎゅっと目を瞑ってひたすら耐えた。
そう叫んで彼女を睨みつけると、顔を真っ赤にした彼女が狂ったように私を殴り始めた。
今までに無いくらい強い力で何度も殴られ、とうとう私はそのまま気を失ってしまった。
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私が目を覚ますと携帯電話にはみんなからの不在着信がいくつもあった。
LINEの件数も百を超えている。
そうだ。私は中学の頃とは違う。
今私には友達がいるじゃないか。
よろよろと立ち上がり階段を降りて保健室へ向かう。
恐らく歌川さんは私が気絶したのを見て怖くなって逃げ出したのだろう。
今は手すりに掴まってなんとか歩いているが身体中がズキズキと痛む。
そうして無理に歩いていると一瞬視界がゆらりと揺れ、そのまま階段を踏み外してしまった。
思わず目をぎゅっと瞑り落ちる衝撃から思考を逸らす。
と、なにか広くて温かいものが私の身体を受け止めた。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!