第3話

花咲き病
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2019/06/03 11:54
「どうしたんですか?」

彼女は,笑いながらそう言った。

「すみません…道に迷ってしまって」

「あぁ! ここの病院は複雑なんですよね

案内しますよ」

「ありがとうございます。助かります」

ここでは,彼女との会話はこれしかなか

った。 ただ俺はその姿を見て,彼女が花

咲き病なんだって言うことは分かった。

俺は気になったから,質問してみること

にした。

「あのー。あそこで何してたんですか

?」

「初対面でそれ聞いちゃうー?笑」

ですよねー。笑

「まぁいいけどさっ。私,花咲き病なの

よね」

知ってる。 見たら分かるよ。

「もう余命が1年しかないの」

「現実から逃げたくなってさ」

「ちなみにあそこでしてた事は2人だけ

の秘密ね! あそこさ。もう使われてな

い病室だから,怒られちゃう!!」

スタスタスタスタ。 彼女にはそんなこ

とがあったのか。 俺にも何かしてあげ

られる事はないのかな。

「さぁ。着いたよ! もう迷わないように

ね!」

「ありがとうございました! あの,俺し

ゅうきって言います。あなたは_」

「あっ,私ー?私は_」

彼女の名前を聞き取ろうとした瞬間,外

から風が聞こえてきて。

「_だよ! じゃあね!」

といって,病院の奥へと消えていった。

あんなタイミングで! 風吹くか普通。

とりあえず俺は,彼女の事を

¨お姉ちゃん¨と呼ぶ事にした。







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