第24話

第三章 いにしえのきおく⑶
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2021/04/15 14:50
四角から見える景色は、灰色だった。
水玉は垂れ、光を乱反射させる。



“これが未来を映してくれたらいいのに”



そう考えを巡らせた男、岩本照は、梅雨が始まりつつある東京を眺める。



デビュー5周年を迎え、半年が過ぎようとしている今、彼らは空を覆う黒雲の様な、大きな壁にぶつかっていた。



CDの売り上げも上々、
テレビへの出演も増加、
国民的アイドルグループとまで言われるようになったのにも関わらず。

彼はどうして頭を悩ませているかと言うと。



彼のシンメトリー、深澤辰哉についてだった。





今彼らは、訳あって8人で活動している。
9人の心はいつも、繋がっています、
9人の絆は最強です、

そう、何度言ったか。



まぁ、その“訳”が深澤なのだが。





深澤について話すと長くなる。
そしてこれはただの抄に過ぎない。

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