第23話

第三章 いにしえのきおく⑵
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2021/04/17 12:19
2024年12月某日
やっとスタートをあの切れた日から、5年が経とうとしていた。


あることをするため、白く無機質な部屋に横たわっている、1人の男。

彼は一昨日、ここへ来た。

先程目当てのことが終わり、ため息を吐く。



深澤「どうせ明日には帰れるからいいけどさ、」



彼しかいないその白い箱で、知らぬ間に呟きを落としていた。



彼はどこか、怯えているように見える。
見えない敵から追われている様な、
未来の壮大な何かと戦う様な。


絶対に明日が来るかは分からない。


そう悟るような、物憂げな表情をしていた。
眉間の浅い皺が、よりそれを際立たせる。



そうして彼は、近くにあった携帯を手に取り、写真フォルダを開いた。

最新の写真はガッツポーズをする8人の男たち。
昨日のものだった。



遡っていけば、
20年来の特別な人とのツーショット、
茜色に染まる空、
夕方の浜辺に立つ8人の後ろ姿、
やっといっしょに呑める、と成長を感じた君、
大人なのにね、ってはしゃいだジェットコースター、



こんなところにも思い出の欠片があるなんて。
そう彼は、はっ、とした。

気付けば彼の目には光るものがあった。





気付けば彼の携帯の画面は濡れていた。

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