第14話

第一章 デジャヴ⑻
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2021/04/05 23:43
マネージャー「DAiSさん、新しい映画、決まりましたよ!」

佐久間「本当ですか、ありがとうございます!」


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高層ビルが立ち並ぶ街並み。
本当なら人でごった返す道も、今日は疎らで。

そんな中、ゆっくりと歩みを進める、影。
夕方の橙に、それは染まっていた。

落日の刻、儚い光に呑まれそうな表情は、比喩ではなく。
まさに何処かへ消えてしまいそうなそれだった。



その胸中には、ある出来事ばかり。





つい、さっきのこと。


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スタッフ「これにて岩崎ひかる役のDAiSさん、クランクアップです!」

佐久間「ありがとうございました!!」

スタッフ「一言、お願いします、」

佐久間「えぇ、本当に楽しい収録でした。この物語はノンフィクションアニメという事で、難しいところもありましたが、他の共演者の皆さん、そして監督をはじめ、スタッフの皆さんのお陰で、今日という日を迎えられたと思います。この経験は自分の一生の宝物です、本当にありがとうございました!」

スタッフ「ありがとうございます!お疲れ様でした!」


彼は拍手の雨が降るところを、マスク越しの笑顔で通りすぎた。

その心境は、
やり遂げたことの嬉しさ。
やり遂げてしまったことの寂しさ。
やり遂げられたことの驚き。
そして、ほんのちょっとの疑問があった。


それもそのはず、
彼は初めてその台本を見た時、泣いていた。
彼自身でさえも、何故なのか分からないが、泣いていた。

彼の涙は、それはそれは純粋で。

ただ単に頬を濡らしただけではないように思えた。



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佐久間「、終わっちゃった、な」


終わっちゃったから。
ずっと先延ばしにしてた問題に、向き合わなきゃ。



段々と弱まっていく陽に照らされながら、彼は思量する。



まず、何で泣いたのか。

仕事を貰って嬉しかったから?
確かに嬉しかったけど。
泣くほど仕事がない訳ではない。

内容を知っていたから?
いや、台本はまだ読んでなかった。
それ以前に、見たことも、聞いたこともない話だった。

でも、

なんとなく、次の展開を予想できたような。

なんとなく、男の友情の話で、
なんとなく、悲しい結末になる。

みたいな。

これって、





佐久間「デジャヴ?」

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