第15話

第一章 デジャヴ⑼ ー0
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2021/04/09 14:36
深澤「なずなぁー?」

なずな「はぁーい!なぁに?ぱぱ!」

深澤「ここにね、なずなのお花があるよ、」

なずな「なずなのおはなぁ?」

深澤「うん!そうだよ、なずなのお花。なずなの花言葉、知ってる?」

なずな「はなことばぁ?なぁに、それ?」

深澤「えっとね、お花に込められた意味、かな。お花の種類によって違うんだよ」

なずな「そぉなんだ!じゃあさ、なずなのはなことばはなぁに?」

深澤「それはね、____。」


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俺には、1人の娘がいる。
“なずな”っていう6歳の子で。

“しおん”っていう妻と、一生懸命育てようとしてた。


でも、神様は残酷で。


なずなが4歳の時。つまり2年前か。
妻のしおんは、心臓の何かで、突然死。

最初こそ、立ち直れずにずっと泣き叫んでたけど、
まだ4歳のなずなが俺に、


「ないちゃだめ。なずなはぱぱのわらってるかおがすきだよ、」


って言うんだもん。

大人の、父親の俺が泣くのは違うよね、って思って。



その後、しおんの遺品整理してたら、手紙が出てきて。
一枚は俺に、もう一枚はなずなに向けてのそれだった。


その手紙を読んだら、まあ号泣して。
ただ、しおんが生きていた証が残っていて、本当に嬉しかった。

その内容は、まるでこうなることが分かっていたような。
そんな言い回しで。


なずなへの手紙は、なずなが二十歳になるまでは渡さないで欲しい、とのこと。

そして、

紫苑しおんの花言葉、調べてみて。私から辰哉への気持ちだよ。あと、なずなの花言葉。それが、なずなに関しての辰哉への思いだから。】

とあって。

すぐに携帯で“紫苑しおん”の花言葉を調べた。




[君を忘れない]





大好きだったしおんの顔が、走馬灯のように巡ってきて。
俺まで死んでしまいそうになるくらい、涙を流した。

でもそんな時、しおんの優しい、優しい声が聞こえて。


『ほら、泣いちゃだめでしょ?私も辰哉の笑ってる顔が好きだなぁ 笑』



深澤「、っ、ぁあ、そうだなぁ、そうだよなぁ、笑わなきゃだよなぁ、なずなのパパだもんなぁ、」



『そうそう、ほら笑って笑って!なずなの花言葉も、調べてみてよ、』



そう言われるがまま俺は、携帯のキーボードをタップしていた。


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深澤「それはね、[貴方に私の全てなずなを捧げます]、だよ。」





そういえば2年前の今日、優しい、優しい、夏の光のような誰かの、命のともしびが消えたんだっけ。

2921年 5月
紫苑の追憶に耽るふける、春夏の頃。

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