街を歩いていると見覚えのある後ろ姿
スーツ着てるけど…マサイ?
驚かしてやろうとこっそり後をつけていた
でもマサイはなんか魂が抜けたかのような歩き方で
人にぶつかっては謝り、ぶつかっては謝る
それを繰り返していた
ちょっと心配になってきて注意深く見ていると前には
横断歩道が
しかも赤信号
でもマサイは信号待ちをしている人混みの中へと
入っていく
もしかして…
急いでマサイを追い掛けた
止まる気配もなかった
‘‘危ない!!!’’
マサイの腕を引っ張ると力無くマサイは倒れ込んだ
‘‘マサイ!どこ見てんだよ!’’
注意してもボーっとしたままのマサイ
するとゆっくりとこっちを見てきた
は?
‘‘おい!マサイ!しっかりしろよ!’’
呼び掛けても目が虚ろ(うつろ)のままだった
‘‘俺だよ!’’
すると我に帰ったかのように
大丈夫かな?
そう言ってマサイに手を伸ばす
マサイはぺけたんの手を取り立ち上がる
また浮かない顔に戻った
笑ってそう答えるけど絶対大丈夫じゃない
昔からそうだ
あんまり弱い所を見せない
マサイの腕を掴み引っ張って行く
俺たちの場所…?
ほぼ強制的に連れてこられたのは…
俺たちの場所
土手だった
ニカッと笑うぺけ
すると
急に川に向かって叫び出した
笑って俺を誘う
俺はぺけの隣に立った
‘‘ほら、マサイも!’’
と背中を叩かれ促された
へへっと笑うぺけたん
俺が思っていたよりもぺけは強い奴だった
あんまり自分の弱みを見せたことがなかった
怖かったんだ…
でも、今なら…
すーっと息を吸って、
久しぶりに腹の底から声を出した気がする
喉が痛い
でもなんかスッキリした。
この後もぺけたんと不満を叫び続けて声がガラガラだ
こいつのおかげでなんか気が晴れた
本当に最高な仲間を持ったな
家に帰ると朝作ったご飯にラップが被せてあり
近くに置き手紙があった
‘‘ごちそうさま!美味しかった!
マサイの分取っておいたぞ!’’
溜まっていた洗い物も片付けてあった
ンダホがやってくれたのか…
ありがとな
‘‘こっちは辞めてくれても構わないんだよ’’
‘‘君の代わりならいくらでもいる’’
これからもっともっとやる事が増えてくる
仕事をやり続けるにしても、
今日みたいに迷惑かけちゃうかもしれない…
…よし、
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。