第9話

コツ
76
2021/07/05 19:11





あれから3度、菜花と触れ合った。


初回の暴走で、その後菜花が、ひりひりして痛いと言うので、アルバム1枚BGM流して、聞き終わる頃には愛撫するのをやめる事にした。
でないと、やめどきがわからない。

私が菜花を好き過ぎるのもあるし、菜花がイかないから、というのもある。
バージンなのは知ってたから、まだ指は挿れてなかった。
だってそれは可哀想で、なんだかためらわれる。





モデル仲間に誘われて、仕事帰りに三軒茶屋のショットバーに行く。
そこに偶然、昔付き合ってた男がいた。


マモルというその男は、顔がいいのと、セックスが上手いのが取り柄だった。
ただ、ひとりに溺れたりしないから、付き合った女がみんな病んでいく。
確かに、あまりにも女が群がるから、私もひと月で嫌になって別れたんだった。


よう、と笑顔で挨拶してくる。
相変わらずチャーミングだ。


マモルの顔見たら、ひらめくものがあった。

カクテル持って、久しぶり、元気にしてんのね、って隣に座る。


「ねえ、もしわかったらアドバイス欲しいんだけどな」


「オレにわかること?」


「ていうか、アンタじゃないとわかんないかも」


「えっち?」


「うん。
私今、女のコと付き合い始めたんだけど、私がヘタなのか、相手がイかないんだよね。
どうしたらいい?
やっぱ、指とか挿れないとダメなもんなの?」


「……女の子相手?
天下の碧様が、もったいな!」


「怒るよ?」


ふたりで笑う。
そうだ、この男はこういう風に軽いヤツだった。
返事を待って、じっと見つめてると、


「んー、刺激が強過ぎるんじゃないかな?
触り方とかの。
強過ぎても弱過ぎてもダメだから、強弱試したら?」


そっか!
それは思いつかなかった。
私の触り方は強いかも?


「あと、足だな。
開かせないで、閉じさせてみ?
開いてると、与えられた快感が逃げちゃって、うまく溜まんない事がある」


「足閉じさせたままどうやんの?」


「そこは工夫してよ(笑)
手で引っ張ってクリトリスだけ顔出さすとかさ。
あと、うつ伏せにさせるのもいいけど、これはペニス無いと難しいだろ?」


「ズルい。
私もペニス欲しい」


「そんないい女なんだ?」


「私にはね。
もう可愛くて可愛くて、夢中なの」


「へえ、今度紹介してよ。
オレでよけりゃイかせてやるよ?」


「絶対イヤよ。
誰がアンタなんかに(笑)」


教えてくれたお礼に飲み物一杯奢って別れる。


やっぱり、こういう事は、プロ?に聞いてみるもんだなって思う。
早速試したくなった。


菜花、なのは、ナノハ。
大好き。
好きで好きでたまんない。
今まで1度も、自分が男だったらとか思った事はないけど、菜花に対してだけは、心底男になりたいって思う。
菜花の中に埋まって、射精したい。
菜花をめちゃくちゃに愛したい。

どうかしてる。
すっかりクレイジー。




携帯が震えた。
見ると菜花からのLINE。


『お仕事終了〜。
明日オフだからデートする?(笑)』


今すぐうち来て!って即レス。
もうすぐ10時だけどかまうもんか。


すぐ既読が付いたけど返事が来ない。
じりじりした。
もう電話しようって思ったら、ようやく返事が入る。


『明日じゃだめ?』


何言ってんの?
私は菜花って名前見ただけで、もうキスしたくて触りたくてたまんないのに。


会いた過ぎて不幸なんだけど、って返した。
既読付くけど、やっぱりすぐ返事が来ない。


会いたいよ(泣)って追加して、泣いてるスタンプみっつ入れたら、


『わかったよ。
今錦糸町だから、30分ぐらい』


って返ってくる。
気持ちが舞い上がる。
思わずスキップした。






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