あれから3度、菜花と触れ合った。
初回の暴走で、その後菜花が、ひりひりして痛いと言うので、アルバム1枚BGM流して、聞き終わる頃には愛撫するのをやめる事にした。
でないと、やめどきがわからない。
私が菜花を好き過ぎるのもあるし、菜花がイかないから、というのもある。
バージンなのは知ってたから、まだ指は挿れてなかった。
だってそれは可哀想で、なんだかためらわれる。
モデル仲間に誘われて、仕事帰りに三軒茶屋のショットバーに行く。
そこに偶然、昔付き合ってた男がいた。
マモルというその男は、顔がいいのと、セックスが上手いのが取り柄だった。
ただ、ひとりに溺れたりしないから、付き合った女がみんな病んでいく。
確かに、あまりにも女が群がるから、私もひと月で嫌になって別れたんだった。
よう、と笑顔で挨拶してくる。
相変わらずチャーミングだ。
マモルの顔見たら、ひらめくものがあった。
カクテル持って、久しぶり、元気にしてんのね、って隣に座る。
「ねえ、もしわかったらアドバイス欲しいんだけどな」
「オレにわかること?」
「ていうか、アンタじゃないとわかんないかも」
「えっち?」
「うん。
私今、女のコと付き合い始めたんだけど、私がヘタなのか、相手がイかないんだよね。
どうしたらいい?
やっぱ、指とか挿れないとダメなもんなの?」
「……女の子相手?
天下の碧様が、もったいな!」
「怒るよ?」
ふたりで笑う。
そうだ、この男はこういう風に軽いヤツだった。
返事を待って、じっと見つめてると、
「んー、刺激が強過ぎるんじゃないかな?
触り方とかの。
強過ぎても弱過ぎてもダメだから、強弱試したら?」
そっか!
それは思いつかなかった。
私の触り方は強いかも?
「あと、足だな。
開かせないで、閉じさせてみ?
開いてると、与えられた快感が逃げちゃって、うまく溜まんない事がある」
「足閉じさせたままどうやんの?」
「そこは工夫してよ(笑)
手で引っ張ってクリトリスだけ顔出さすとかさ。
あと、うつ伏せにさせるのもいいけど、これはペニス無いと難しいだろ?」
「ズルい。
私もペニス欲しい」
「そんないい女なんだ?」
「私にはね。
もう可愛くて可愛くて、夢中なの」
「へえ、今度紹介してよ。
オレでよけりゃイかせてやるよ?」
「絶対イヤよ。
誰がアンタなんかに(笑)」
教えてくれたお礼に飲み物一杯奢って別れる。
やっぱり、こういう事は、プロ?に聞いてみるもんだなって思う。
早速試したくなった。
菜花、なのは、ナノハ。
大好き。
好きで好きでたまんない。
今まで1度も、自分が男だったらとか思った事はないけど、菜花に対してだけは、心底男になりたいって思う。
菜花の中に埋まって、射精したい。
菜花をめちゃくちゃに愛したい。
どうかしてる。
すっかりクレイジー。
携帯が震えた。
見ると菜花からのLINE。
『お仕事終了〜。
明日オフだからデートする?(笑)』
今すぐうち来て!って即レス。
もうすぐ10時だけどかまうもんか。
すぐ既読が付いたけど返事が来ない。
じりじりした。
もう電話しようって思ったら、ようやく返事が入る。
『明日じゃだめ?』
何言ってんの?
私は菜花って名前見ただけで、もうキスしたくて触りたくてたまんないのに。
会いた過ぎて不幸なんだけど、って返した。
既読付くけど、やっぱりすぐ返事が来ない。
会いたいよ(泣)って追加して、泣いてるスタンプみっつ入れたら、
『わかったよ。
今錦糸町だから、30分ぐらい』
って返ってくる。
気持ちが舞い上がる。
思わずスキップした。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。