さっき、私がしようとしていたこと
忘れたかった
最低だから、こんなの
空いた穴をただ埋めたかった
寂しい思いを少しの間だけでも
逃れたくて、したくなくて
モトキを……シルクと思って抱いてもらおうとしてた
自分の絶ちを考えると
考えれば考えるほど頭が痛くなる
もっきゅんが優しい声で私を楽にさせる
涙が出てきて、もっきゅんに抱きついて胸に顔を埋める
2人でソファーに座って、映画を見る
もっきゅんの膝に頭を預ける
ぽんぽん、と撫でてくれる優しい手
なんか…私ばっか甘えてるなぁ…
…そうだ!!!
モトキが私の膝に寝っ転がる
その後、夢中になってDVDを見ていると
下からスースーと寝息が聞こえた
チラッと見るとモトキは気持ちよさそうに寝ていた
彼を好きになれば、
傷つかなくて済む
きっとまっすぐに、幸せに向かっていける
なのに
なんで私は
こんなにもシルクに執着してしまうの
彼の甘い罠が
彼の甘い言葉が
大好物で離れられない
モトキに申し訳なくなって
風にあたろうとベランダに出た
ベランダに出ると、冷たい風が弱く吹いた
私の呼吸が白くなって消えていく
下から聞き覚えのある声が聞こえて
とっさに見ると私に手を振る
シルクだった
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。