バシュッ!!
ピ────!
《ありがとうございました!》
この学校の2年生は、特進科1クラスと普通科5クラスの計6クラスがある。
今回の球技交流会は普通科のみで行われている。(何故かは知らんが)
2年生のバスケは、1試合10分、1チーム5人という至って普通のルールだ。
私たちB組Bチームは、ついさっき行われた初戦を無事突破。続いて2回戦で当たったE組Aチームをくだし、準決勝へと進んだ。
他のブロックでもB組は着々と勝ち上がっていて、もしかしたら、決勝でB組対B組の戦いが見られるかもしれない…と期待している。
体育館のステージ上にいた咲良ちゃんが駆け寄ってきた。
突然現れた優奈に驚きつつ、“いっちゃん”が誰なのか気になったその時────
典型的な現れ方で、長身の美人さんが現れた。
私はペコっとお辞儀した。
杉下さんは私をギロっと睨みつけた。
[ふ────────────ん…]
た、タメが長いよっ…杉下さんっ…
私はビクビクしながら彼女を見つめた。
すると、私から視線を外し、優奈を睨んだ。
私は立ち尽くしてしまった。
そう言った彼女に、優奈が静かに言い放つ。
杉下さんはそう言い捨てると、チームの元へ戻っていった。
私は、颯爽と去っていった杉下さんの背中を見た。
…確かに、意志が強そうな目をしていたかもしれない。
私は嫌な予感がして、身を震わせた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。