第14話

☀︎14
217
2018/12/02 09:05
咲良
立夏!パスっ!
立夏
はいっ!月影さん!
ポーン…
ビュッ!!
…辻さん
シュッ
咲良
…おお。月影さん上手いなぁ!
と、言いながら、辻さんは前園さんにパスを送る。

私たちは三角形になって、お互いにパスを送っている。


…えーっと…それぞれの実力を正直に申し上げますと…

辻さんは、力が弱くて優しーいパスになっている。たまに相手に届かない時がある。逆に前園さんは、力が強くて勢いよくパスがとんでくる。
[む、難しいな…]
[わー、うまくとばない!]
2人はなかなか苦戦しているようだ。

そして、前園さんが私にパスを送った…その時。
立夏
危ないっ!
……!
前園さんが送ったパスは、私の頭上をはるかに通り過ぎ、私の真後ろにいた女子に向かって落ちていった…!
女子1
えっ…?
女子は反応するのが遅く、ぶつかると思ったのか、ギュッと目を瞑り、腕で頭をガードした。
────でもね。大丈夫ですよ。
私は落ちてくるボールに向かって思いっきり手を伸ばし、その女子の胸くらいの高さまで跳ぶと、ギリギリのところでボールをキャッチし、ダンッと音を立てて着地した。
…怪我はないですか?
女子1
…はっ、はいっ…
[何があったの…?]
…うん、まあそりゃ驚くわな。

私が苦笑していると、前園さんが駆け寄ってきた。
立夏
2人ともごめんね〜!
女子1
大丈夫だよ、立夏。気をつけてね。…月影さんもありがとう
…いえ
私はそれだけ言うと、前園さんと一緒に辻さんの元へ戻った。
立夏
月影さんってすごいね〜。バスケやってたの?
…中1の1学期だけ…あとは、兄の練習の付き合いとかで
立夏
すごいなあ…運動神経いい人って憧れるし…尊敬する
…………
…昨日も佐藤くんに言われたけど。私ってそんなに尊敬されるべき人間なのかな…

頭を抱えて悩んでいた時。
ピ────!
柴田先生
集合ー!試合やるぞー!
立夏
はーい。あ、そういえば、月影さんがいなかったのと、まだ実力が分からないってことで、チームはまだ決まってないからね
…分かりました…
…試合…か。

本当に久しぶりにやる…

ま、やるだけやってみっか。
私はひっそりと拳を握り、柴田先生の元へ向かったのだった。

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