第19話

☀︎19
126
2018/12/04 10:20
審判
これより、準決勝1組目、C組Aチーム対B組Bチームの試合を始めます
《お願いします!》
ああ…とうとう来てしまったよ…杉下さんとの試合が…

なんか…敵チーム全員強そうなオーラ出してるし…!
[雑魚が。伊織に勝てると思うなよ]
[バスケ部いないくせに…]
[まあ、ここまできたご褒美で…ちょっとは楽しませてあげないとなあ…]
…怖っ…
杉下さんのあの強気な目で見られて、私の背筋が凍った。

目の前に並んだ相手と握手すると、ジャンプボールをするために、センターサークルの中へ入った。

…敵チームは…やっぱり、杉下さんだ。私より数センチ高い彼女は、腕をぐっと伸ばしながら私を睨みつけた。
…お…お手柔らかに…お願いします…
伊織
気が向いたらね?
……!
ピ────!
試合開始のホイッスルが鳴った。

私は素早く飛び上がり、ボールに指を触れさせた。

でも、それより一瞬早く、杉下さんがボールを弾きとばした。

…相手ボールだ。

敵の中で素早くパスが渡り、あっという間にゴール下へときていた。

ブロックしようとしたが…間に合わない…!

バシュッ!と、鮮やかにシュートが決まった。


…くそっ…先制点を取られた…
立夏
…大丈夫。落ち着いて。巻き返せるから
…立夏ちゃん…
立夏
さ!巻き返すよ!
…うんっ!
私の背中をバシッと叩いた立夏ちゃん。

…おかげで気合が入ったよ。


私はすぐにボールへ視線を向けた。

敵のパスをカットし、すぐさまスリーポイントシュートを決める。
…よしっ
伊織
…………
私はシュートを決めた後、すぐに持ち場へ戻る。
ほぼ交互にシュートを決めていき、残り1分ほどとなった。

点差は1点。C組がリードしている。
[守りきれば、私たちの勝ち…!]
その通り。C組は、守りきれば勝ちだから、ディフェンスを固めている。

…攻められない…いや、攻めてやる…!
審判
残り10秒!
相手が持っていたボールをすぐさま奪い取ると、私は敵陣へと攻め込んだ。
審判
9!
杉下さんともう1人に固められ、その先に行けないが…
審判
8!
後ろにいた味方に素早くパスを送り、私はゴール下へ入る。
審判
7!
その味方もゴール近くへ入り、シュートを決める!
審判
6!
だがリングに跳ね返り、落下…!
審判
5!
私はすぐさま拾い上げると、レイアップシュートを決める────!
審判
4!3!2!1────!









バシュッ!




審判
そこまで!23対24でB組Bチームの勝利!
《ありがとうございました!》
ギリギリで滑り込んだボールは、吸い込まれるかのようにゴールへ入った。
立夏
やったぁぁ!!決勝進出!
ハァ…ギリギリ…
立夏ちゃんは私にギュッと抱きついた。
女子1
危なかった…最後、拾ってくれてありがとう!静ちゃん!
いやいや…私も入るか心配だったから…
みんなで喜びを分かち合っていると、杉下さんが近づいてきた。
伊織
…まさか、あそこで入るとは思わなかったわ…
…ギリギリでしたからね…
杉下さんは気まずそうに下を向いた。
伊織
…さっきは……ごめんなさい。ひどいこと言っちゃって…
わお…意外と素直な人だったんだ…杉下さん…

…まあ、そこまで嫌な気もしなかったし、当然私は許すに決まってる。
…大丈夫ですよ。楽しかったですし
私はぎこちなくだったけど、口角を上げて笑った。
私と杉下さんは軽く握手を交わすと、背を向けあい、お互いのチームの元へ歩いていった。

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