JM side
ナムヒョンが壊れた。
誰の声も入らない
必死に踊り続けるナムヒョンが
すごくすごく怖かった。
パンPDが突然連れてきた女の子。
しかも日本人。
黒髪でスタイルがいいけど
日本人特有の雰囲気の柔らかさと
可愛らしい顔。
何より落ち着く優しい声。
彼女はそう言って
踊るナムヒョンの後ろから静かに近づく。
俺らは練習室の端でそれを見ていた。
あなたさんの優しい声。
日本語での呼び名。
驚いたように振り向いたヒョンが
ヒョンより少し小さな彼女を強く抱き締めた。
彼女がヒョンの身体を支えるのには無理があって
2人で座り込んだけど
あのナムヒョンが…
彼女にすがるように抱きしめている。
こんなにも優しい声、久しぶりに聞いた。
母親が赤ちゃんをあやすように…
ヒョンの頭を優しく撫でながら
そう語りかける。
きっと恋人なんだろう。
彼女の膝を枕にして
倒れても倒れても踊り続けたヒョンが
壊れてしまったヒョンが
数日ぶりに
寝息をたてて眠りについた。
君は一体
何者なの?
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。