第4話

4 疑惑の種
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2018/10/09 13:17
 そこにあったのは、段ボール箱だった。中には3匹の子犬が固まっている。首輪もしていないところを見ると捨て犬だろう。
内田 真奈
一昨日散歩していた時に見つけたんです。本当は保健所に連絡しなきゃいけないのはわかってます。でも、どうしてもできなくて……
 保健所に連れて行かれたその後を考えたのか、真奈の頬を涙が伝う。
内田 真奈
コンビニ行った後、ここに来たんです。この子達も雪で寒がってるだろうって。でも、まさかこんなに弱ってるなんて思ってなくて…………
 涙が溢れ、足元に染みを作った。なにも言えない大輝は、ゆっくりと段ボール箱に近づく。毛布が敷かれ、小さな茶碗が3つ、並べてあった。真奈は3日間、ここに子犬の世話をしに来ていたのだ。その先のことはわかっていたはずなのに……。



♢ ♢ ♢


 保健所に連絡して子犬の死体を引き取ってもらったあと、2人は真奈の家に戻ってきた。玄関のところで田村と菜美に会う。
田村
あ、先輩たちも出かけてたんですね
梶田 大輝
まぁな。ところで笹野さん、明日のライブはどうするんですか?
 大輝は気になっていた疑問をぶつけた。
笹野 菜美
予定通りやりますよ、もちろん
    菜美は当然とばかりに答える。
梶田 大輝
そのことなんですが、刑事を客に紛れ込ませるのは無理でしょうか
 大輝は申し訳なさそうに聞く。菜美は眉を顰めた。
内田 真奈
どうしてですか??
    真奈は驚いたように尋ねる。
梶田 大輝
おそらく今回のこの事件、あなたたちの解散が関係していると思うんです。俺の勝手な想像なんで信憑性はないんですけど。するとまあ、明日のライブが危ないんじゃないかなと……
 田村も同意するように首を縦に振った。
笹野 菜美
……まぁ、上が承諾したらですね。ファンの方たちを疑うなんて、絶対にしたくないんですけど
 菜美は少し躊躇ったが、諦めたように言う。すみません、と大輝は頭を下げた。


♢ ♢ ♢


 その夜、大輝は交通課の友人から借りた過去の事故データを、片っ端から流し読みしていた。20年近く前のデータで、ふと手を止める。
 しばらく熟読していたが、やがて脳が回転しだした。
 廊下の窓……残ったままの凶器……起動していないエアコン……
 そして、やがてその脳が1つの解答を導き出す。
…………そうか、だからおかしかったんだ……あの時の態度も、あの時も……。

 大輝は頭を抱えた。

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