第2話

回顧
69
2020/06/25 11:15
中学時代、平々凡々ではあったが何も無い、と言えば嘘になる。

私があまり思い出したくないという程には。


川原 蓮(かわはら れん)
はーすーみ!
何やら煩い声がする。
蝉時雨の中私はなまら頭を上げた。
蓮見 かこ(はすみ かこ)
ぅあ?
川原 蓮(かわはら れん)
おま、へ、いや、顔…大丈夫?
汗が伝う彼、川原蓮が私の顔を覗き込み心配そうな表情をした。

だがへ、顔、とはなんだ失礼な。
変な顔とでも言いたいのか、そうなのか、そうなんだろうな。

暑さでしかめっ面になっているということもあるが、元々こういう顔なのだ。
蓮見 かこ(はすみ かこ)
あっつい
蓮見 かこ(はすみ かこ)
あと蝉うるさい
ふうとため息を零してうなじあたりの汗を手で拭った。
川原 蓮(かわはら れん)
扇風機ここじゃ当たらないもんな
哀れみの目を向けて煽り口調の川原の脛を蹴って睨みつける。
蹴られた彼は痛ったと脛を押えてぴょんぴょん飛び跳ねている。
蓮見 かこ(はすみ かこ)
そういうこと言うからだよ
自分も十分幼稚と言える行動をしてふんと鼻を鳴らしそっぽを向いた。

が、すぐに川原の方をまた向いた。
その形相があまりにも必死だったのか彼はうおっと声をあげてぶふっと吹き出していた。

私の向けた顔の先には幼馴染の美緒がいたのだ。
美緒は私が川原と話す度にやにやと嫌な顔をして冷やかしてくる。

別に私は川原のことが好きではない。
ただよく喋る男子という関係なだけだ



そうきっと川原も同じ気持ちなのだ。
そうずっと思っていたし、思いたかった。

お互いただの友達なんだって。

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