…俺の母親は、物心つく前に死んだ。
親父は……散々俺に暴力を振るった後、俺をあの家に1人残して、女ん所に行った。
兄弟なんていやしない。
一人っ子だ。俺は。
幼稚園、小学校、中学校時代。
俺とあなたに、友達なんてものは出来なかった。
あなたは、綺麗な緑の目を忌み嫌われ。
俺は、この生まれつきの銀髪を忌み嫌われて。
けど、あいつらはあなただけを虐める。
俺には勝てないってわかってるから。
弱い奴だけを。
……そんなあなたを、日々守る。
それが、俺らの人生だった。
そんな過去があったから。
誰にも愛されなかったから。
……そんな、嬉しくもない共通点があったから…俺らは。
簡単に、信じ合うことが出来た。
手を差し伸べる。
その手を、お前は握って。
けど、俺の家にずぶ濡れで来た時のような。
そんな、微かな震えは……既に、収まっていた。
そう言って、俺らは……誰にも縛られずに。
長い長い、道のりを。
人生の終着点まで続く線路の上を…2人で歩いた。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。