「無事、手術は成功しました。」
「まさに、奇跡です。」
「よかった……本当に…」
「これで、お前も普通の生活がおくれるな。」
「翔。」
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目を開けるといつもの病室の天井。
でも、いつもより体が軽く感じる。
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ー夢の中ー
「ナイスサー!」
俺の目の前で何かの試合が行われている。
横を見ると
「飛べ」
と書かれた横断幕
この風景は、とても….….…
懐かしい…
「日向ー!!!ラストぉぉぉ!」
日向って誰?
そう思った瞬間。俺の体は勝手に動いた。
自分じゃないみたいなぐらい、高く飛んでいてとても驚いた。
「ナイスキー!日向!」
さっきのボールを打った感覚。
やっぱり、懐かしい。
ブチッ
そう思った瞬間また、違うところに来た。
真っ黒な部屋。
目の前に1人の男の子がいた。
俺より、年上に見える。
「おれは、お前だ。お前は、バレーが好きだ。」
「ちげぇよ!!スポーツの方!」
「おれは、お前におれの全てを託す。だから、もう一度おれらのしたかったことをしようぜ!翔!!」
さっきの夢が蘇る。
スパイクの決まる気持ちよさ。
"最強の囮"
という名を持っていたこと。
自分の記憶じゃないのに、自分が体験したかのように脳に全てが蘇る。
目の前にさっきの男の子はいない。
俺は何故かその子の名前を知っている。
もしかして、彼が俺のドナーなのか…
だから、俺は彼の記憶を知っている。
そんなこと、あるのか…
日向翔陽。俺はお前として生きていくよ。
俺は生まれてから病院の外で生きたことがない。
だから、俺に外を教えてくれ。
お前の感覚を俺に教えてくれ。
お前の、身体能力も全部。
俺がおれを支えるから。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。