あなたside
全く…疲れました、
あんなことで腹が立ってしまうとは…
まだまだ私は弱いみたいです、お母さん
ふふ、ありがとう
いつか必ず鬼舞辻さんの頸を斬ります、
それまではいくら辛くても自害はしない
まあ、殺されるかもしれませんけど
実弥side
2人分の着物を選ぶため店内をぐるぐる回る姿は年相応の女に見える
こいつを見てっとついまだ14だってことを忘れちまうが、その辺の餓鬼と変わんねェんだよなァ…
最終選別を突破してから1年しか経ってねェのに柱にまで上り詰めて、その中でもトップを争える、いや断トツで強いんだからとてつもない努力をしてきたんだろう、
それに加えて自分が虐められても相手に手を出さず、相手を「仲間」だと言うんだからこいつァすげェぞ……
俺のだ、と言って差し出したものは鶸萌黄色の着物と、瓶覗色に白の葵模様があしらわれた帯、
氷咲のは瓶覗色に桜の花が散りばめられている着物と、薄葡萄色の帯だった
そう手に取ったのは薄紅梅色の帯
あなたside
どうして…
私だって可愛らしい色のものを身に付けたいけれど、きっと似合わないから…
と思ってやめたんですけど、不死川さんには隠せなかったみたいですね、
.
そう呟いた不死川さんの顔は手に持っている帯と同じ色に染まっていた。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!