いつの間にか眠ってしまっていたようで、玄弥くんの私を呼ぶ声で目が覚めた。
信じられないくらい多い怪我人。
そこら中に転がっている既に息絶えた隊士たち。
そして、私が眠っている間も戦い続けていたであろう皆と鬼舞辻さん。
プツン、と
私の中で何かが切れる音がした。
気付けば、玄弥くんを置いて、鬼舞辻さん、いや、無惨の目の前で心に秘めていた怒りを言葉にしている私がいる。
そう言い放ち、地面を勢いよく蹴った
人を悪く言うのなんて、人に敬語を使わず話すなんて、いつぶりだろう。
言葉にすると同時に、手に持っていたものを刺した
良かった、効いた。
これは藤の花からできた毒と、夾竹桃という人体にも害のある花の毒でできたもの。
藤の花の毒だけじゃ効果が弱いと思い、効くかわかりませんでしたが、夾竹桃も混ぜてみたんです。
……しぶとい。
というか背中から何か触手みたいなものが生えてきて……正直、気持ち悪い。とっても←
その気持ち悪い触手は、かすっただけでも大分深い傷になる。
簡単に近づくことすらできない。
next ↺
_____________________
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!