あの日から2ヶ月
毎日のように誰かしらが訪ねてきては、氷咲の様子を見て帰っていく
氷咲を縁側に座らせて、一方的に話をすることが日課になった
……決していいことではないが。
少し気を抜くと涙が止まらなくなる
朝は、氷咲と今日を無事に終えられることを願い、
夜は、再び朝日が昇るまで生きられることを願う
あの時から変わったことと言えば、
氷咲の表情が変化するようになったことだ。
こちらの話が聞こえている訳じゃなさそうだが、時々苦しそうな顔をする。
苦しそうな顔を見るのはこっちも辛いが、
夢の中で氷咲も、何かと戦っているんだろう。
***
私なんかが、生きていていいのだろうか
役目は終わったのだから、私は死ぬべきなのではないか
そんな声が聞こえる度に、苦しくなる。
それでも、
誰から何と言われようと、私は生きたい。
もう一度、もう一度でいいから
不死川さんに抱き締めてもらいたい
「好きだ」と言ってもらいたい
そんな我儘は、贅沢は、許されないのですか?
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!